画像処理技術は医療、自動運転などの分野で広く活用されており、現代ではその専門知識をもつ人材の市場価値も大きくなってきています。その画像処理のスキルや知識を評価する資格試験「画像処理エンジニア検定 エキスパート」をご存知でしょうか。
今回の記事ではその画像処理エンジニア検定 エキスパートの勉強時間や合格率、勉強法など、これから試験を受ける方にとって役に立つ情報をお届けします。
合格を狙う方、そして根本的に概要を知りたい方も参考になる内容なので、ぜひご一読ください。
画像処理エンジニア検定とは?
画像処理エンジニア検定は「CG-ARTS(公益財団法人 画像情報教育振興協会)」が運営する、画像処理技術に関する知識やスキルの裏付けとなる民間資格のことです。
生成AIの分野のひとつ「画像処理」にフォーカスを当てたもので、主に基本的な理論やアルゴリズム、パターン認識や復元などに関する問題が出題されます。
合格することで画像処理技術者としての能力や信頼性を証明できます。そのため画像処理エンジニアをはじめ、AIエンジニアやデータサイエンティストへの転職など、スキルアップのきっかけとして人気を博している資格です。
そして「エキスパート」というのは、難易度の分類を指しています。レベルの分類は「エキスパート」と「ベーシック」の2種類があり、次の章で詳しく紹介します。
難易度は「エキスパート」と「ベーシック」の2種類
画像処理エンジニア検定の難易度には、「エキスパート」と「ベーシック」の2種類があります。ベーシックのほうが初心者向け、エキスパートのほうは上級者向けという位置づけです。
どちらも運営会社はもちろん受験形式や開催頻度もおなじですが、難易度や試験時間、受験費用などが異なります。それぞれの違いを一覧にまとめると、以下のようになります。
エキスパート | ベーシック | |
開催頻度・日時 | 年2回(7月上旬・11月下旬) | 年2回(7月上旬・11月下旬) |
合格率・難易度 | 約30~40% | 約60~65% |
試験時間 | 80分 | 60分 |
出題数 | 全10問 | 全10問 |
受験費用 | 6,700円(税込み) | 5,600円(税込み) |
試験形式 | マークシート | マークシート |
受験資格 | なし(どなたでも受験可) | なし(どなたでも受験可) |
主な出題内容 |
など |
など |
主要な違いは試験時間と出題内容でしょう。ベーシックは時間が60分なのに対し、エキスパートは80分と少し長めに設けられています。
また出題内容は被っている部分もありますが、エキスパートは専門知識の理解に加え、知識を応用する能力、ベーシックは基礎知識の理解が求められます。
画像処理エンジニア検定 エキスパートの主な出題内容
エキスパートの主な出題内容は、前述の表で紹介しているものの他にも、
- デジカメ構成
- 画像生成モデル・パラメータの理解
- カラー画像の撮影方法
- コントラスト変換
- エッジ抽出
- 平滑化
- 線形変換
- 2値化
- 顕著性マップ
- クラスタリング
- ニューラルネットワーク
- CNNを用いた認識・生成
- オプティカルフロー
- ステレオビジョン
と言ったものが挙げられ、他にも多岐にわたります。
参考:CG-ARTS公式サイト
簡単にいうと「画像が生成されるまでの流れ」や「画像処理の仕組みやロジック」に関するものが多く出題される傾向です。
なお以下の記事では、画像処理エンジニア検定の過去問題をPDFで確認することができますので、ご一読のうえぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
画像処理エンジニア検定 エキスパートの難易度・合格率
画像処理エンジニア検定 エキスパートの合格率は、例年約30~40%となっています。これまでの合格率を一覧にまとめたものが以下になります。
エキスパート合格率 | ベーシック合格率 | |
2023年後期 | 29.0% | 68.5% |
2023年前期 | 42.7% | 69.4% |
2022年後期 | 32.3% | 66.4% |
2022年前期 | 38.6% | 62.3% |
2021年後期 | 22.2% | 68.3% |
2021年前期 | 32.6% | 66.5% |
2020年後期 | 42.8% | 69.0% |
2020年前期 | 32.6% | 67.9% |
参考:CG-ARTS公式サイト
とはいえ多少のばらつきはあり、エキスパートだと多い年で42%と約半数の合格率を記録したこともある一方、22%と難関資格なみの数字にとどまったケースもあります。
画像処理エンジニア検定 エキスパートに必要な勉強時間
画像処理エンジニア検定 エキスパートに合格するために必要な勉強時間は、おおよそ40~80時間と考えるのが賢明でしょう。エキスパートとベーシックそれぞれに必要になる勉強時間目安を比較すると、以下のようになります。
エキスパート | ベーシック | |
初心者 | 50~80時間 | 30~50時間 |
上級者 | 40~60時間 | 15~20時間 |
とはいえ勉強時間は個々によって大きく差が生まれるものなので、上記もあくまで目安として考えるほうがいいでしょう。たとえば会社員として働きながら試験勉強を行うとなれば、経験者でも上記以上の時間を要するケースも少なくありません。
また経験や事前知識の有無でも、知識の吸収スピードが大きく変わってきます。
画像処理エンジニア検定 エキスパートが役立つ場面
画像処理エンジニア検定 エキスパートが役に立つシーンはさまざまですが、代表的なものは以下になります。
- 画像処理エンジニア転職
- AIエンジニア転職
- データサイエンティストへの転職
それぞれ、順を追って見ていきましょう。
役立つ場面①画像処理エンジニア転職
資格名称にあるとおり、画像処理エンジニアへの転職を目指すならこの上なく最適な資格といっていいでしょう。画像処理の高度な知識と技術をもつことの証明、および求職者の専門性の強調が可能になるからです。
実際に転職市場では実務経験と同様に、「資格の有無」が採用判断の重要な要素となるケースもゼロではありません。とくに画像解析、やニューラルネットワーク分野の職種を目指す際は、資格はあるに越したことはないでしょう。
また資格を取得することで自信をもって専門知識をアピールできるようになるうえ、採用担当者に対して即戦力としてのアピールも可能になるので、競争の激しい転職市場における優位性を確実に高めることができます。
役立つ場面②AIエンジニア転職
AIエンジニアへの転職に大いに役立ちます。画像処理の高度な知識とスキルを裏付けることができれば、主に画像解析やその他AIを活用するプロジェクトで大きな価値を発揮するからです。
AIエンジニアは、機械学習モデルの訓練や最適化において画像データを扱うことも多いです。それに対するアピールが可能になるうえ、最新の技術動向や実践的なスキルを身に付けていることも示すことが可能になります。
そもそも「AIエンジニアとはどんなことをするの?」と疑問に思っている方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。
役立つ場面③データサイエンティストへの転職
データサイエンティストへの転職の際にも、画像処理エンジニア検定 エキスパートの保有は大きな意味をなします。データサイエンティストは非構造化データを取り扱う場合が多いからです。
非構造化データとはExcelファイルやCSVのような「行」や「列」といった概念がないデータ(たとえば画像や動画、音声など)のことを指します。つまり画像データはこの非構造化データに該当するため、その点をアピールできるでしょう。
なお今回紹介している画像処理エンジニア検定のほかにも、転職に役立つIT資格にはさまざまなものがあります。以下の記事で詳しく言及しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
画像処理エンジニア検定 エキスパートの勉強法
画像処理エンジニア検定 エキスパートの合格を狙える勉強法としては、大きく以下が挙げられます。
- 書籍を用いて独学を行う
- AIセミナー・講座で学習する
それぞれ解説します。
勉強法①書籍を用いて独学を行う
書籍を用いて独学を行う方法になります。自分の現在のレベル感を把握し、自分に合った様式の書籍を選ぶことで、自分のペースで確実にスキルが定着するでしょう。
誰かに急かされることなく、じっくり理解できるまで学習できるため、人に教えてもらうことが苦手という方に最適です。なお、画像処理エンジニア検定 エキスパートの対応書籍はCG-ARTSが公式サイトで公表していますので、ぜひ参考にしてください。
参考:CG-ARTS公式サイト
勉強法②AIセミナー・講座で学習する
AIセミナーや講座を活用することも、たいへん有効な学習方法となります。AIセミナーを活用するのであれば、AI研究所による「AIプロフェッショナル人材育成コース」がもっともおすすめです。
こちらは1日でも早くAIのプロフェッショナルになるための短期集中セミナーで、現場で必要なAI知識をスピーディーに学ぶことが可能です。カリキュラムでは画像スクレイピングや画像識別アプリを実際に手を動かして開発できるため、画像処理エンジニア検定 エキスパートの対策としてもうってつけでしょう。
特別顧問には東京大学と慶應義塾大学の教授を迎えるなどサポート体制も強力なため「素人の自分もちゃんと理解できた」という声を多く頂いています。短期集中型の試験対策として、ぜひご検討ください。
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画像処理エンジニア検定 エキスパートまとめ
画像処理エンジニア検定 エキスパートは、画像処理技術に関する深い理解と高度な応用能力をもつことを証明できる資格試験です。エキスパートはベーシックと比較すると合格率は約30~40%と低く、高レベルの知識とスキルが求められます。
とはいえ書籍や過去問題集、および必要に応じてセミナーをうまく活用することで着実に合格ラインに到達することが可能になります。これから需要が延びる画像処理分野で活躍できるよう、ぜひ画像処理エンジニア検定 エキスパート試験への挑戦を検討してみてはいかがでしょうか。