G検定はAIの基礎知識を持つ人材を認定する試験として、多くの受験者に支持されています。2024年にシラバスの内容が改訂され、より現代のAI技術やトレンドに対応したカリキュラムとなりました。
これによってより受験者が最新の知識を身につけられるようになったものの、なぜ今回の改訂が必要だったのか、具体的にどの部分がどう変わったのかはわからない方が多いと思います。この記事ではG検定のシラバスの改訂理由や具体的な変更点、またおすすめの学習書籍について詳しく解説します。
G検定とは?
G検定はJDLAが主催する資格試験で、人工知能(AI)や機械学習に関する基礎知識を評価するものです。AIの開発に携わるスペシャリストというよりも、幅広いAI業務に関わるビジネスパーソンや初心者を対象とした比較的やさしい難易度の資格です。
試験ではAIの基本概念をはじめ、技術の応用例や法的・倫理的な問題を中心に出題され、AI技術の理解を深めることが目的となっています。AIを活用する基礎知識をもつ人材を育成し、ビジネスや研究におけるAI活用を促進するために設けられています。
なおG検定の概要および類似資格の「E資格」との違いなどについては、以下の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひ併せてお読みください。
G検定のシラバスはいつ何が改訂された?
G検定のシラバスはJDLAによって、2024年の11月に実施される「G検定2024 #6」から改訂が適用されます。何が改訂されたのかを一言でいうと、「出題傾向の一部変更」および「出題範囲の追加」です。
試験で出題される問題の傾向が変わり、かつ出題範囲が広がったので、若干難易度は上がったと捉えて差し支えないでしょう。とはいえ「従来とまったく異なる勉強をしなければならないのか」「改訂前のシラバスや問題集はもう役に立たないのか」というと、そんなことはありません。
シラバス改訂で出題のされ方や範囲が追加されたものの、AIに関する根幹の基礎知識が求められることは変わりません。まずは従来どおりのやり方で基礎を固めることが大切です。
また今回のシラバス改訂は出題内容と範囲のみで、制限時間や出題数、試験費用などに変更はありません。
G検定のシラバスの具体的な変更点
新シラバスでは、以下の点が追加されています。
旧シラバス | 新シラバス | |
人工知能の定義と基本概念 |
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に変更 |
探索・推論の具体例と手法 |
|
を追加 |
機械学習・ディープラーニング |
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を追加 |
教師あり学習・教師なし学習 | 各種学習モデル(線形回帰やロジスティック回帰ほか)および教師なし学習モデル |
を追加 |
モデルの選択・評価 |
|
を追加 |
ディープラーニング技術・要素 | ディープラーニング基礎(多層パーセプトロン、誤差逆伝播法、畳み込みニューラルネットワーク、ほか) | 各種役割とパラメータの説明(全結合層、畳み込み層、正則化層ほか)
を追加 |
ディープラーニング実用・応用例 | 実用および応用例(画像解析、音声学習、自然言語処理ほか) |
を追加 |
AIの社会実装およびガバナンス |
|
を追加 |
大きな違いとしては、人工知能の定義にて、
- 「単純な制御プログラム」
- 「古典的な人工知能」
- 「機械学習」
- 「深層学習」
の4分類に分けられて出題される形になったことです。
その他は、より具体的かつ深い知識、および説明を求められるような内容が追加されている点が特徴。シラバス改訂によって表面的な知識だけでなく、さらなる深い理解が必要になった印象です。
G検定のシラバスが改訂された理由・背景
G検定の運営元であるJDLAは、シラバス改定の背景を以下のように説明しています。
本改訂では生成AIの登場により激しく変化している環境の中で、最先端の技術をキャッチアップし、利活用できる人材育成に貢献するため、AIの基礎となる歴史的な知識について体系を見直しております。また新たに重要となる基盤モデルや言語モデルといった技術を追加し、法律・倫理についてはディープラーニング利活用者が理解すべきポイントを明確にするなど、シラバス全体の見直しを行いました。
引用:JDLA公式サイト
生成AIの技術やトレンドの変化は目まぐるしいです。そのため「最新の情報に精通した人材である」ということを証明するには、シラバスを改定のうえ、理解を深めて貰う必要があるということになります。
ちなみに、G検定やAIに関する資格のみならず、IT系の資格はこういったシラバス改訂がつきものです。たとえばIPAが運営するIT国家資格である「基本情報技術者試験」は、2020年4月から以下の内容が変更されました。
- 試験範囲の追加および出題傾向が変更された
- 午後試験の項目から「COBOL」が排除され、代わりに「Python」が追加された
- 毎年2回開催だったものが、CBT方式採用で通年受験可能になった
- 午前、午後ともに出題数と制限時間が変更され、午後試験の出題数が増えた
出題内容のみならず試験項目や形式、開催頻度などおおきな変更が施され話題となりました。このように変化・進化が激しいIT業界なので、試験内容変更に一喜一憂せず、淡々と変更に順応して学習していく姿勢が大切です。
G検定シラバス改訂に対応した書籍
引用:Amazon
G検定シラバス改訂に対応した書籍であれば、「G検定公式テキスト第3版」がもっともおすすめです。こちらの書籍はG検定を運営するJDLAが公式で認定したテキストなので、G検定受験者なら必ずもっておきたい一冊となります。
新シラバスに完全準拠した改訂版としてディープラーニングの基礎から応用までが分かりやすく解説されており、章末問題も刷新されています。G検定受験者や基礎を学びたい人、事業での活用を検討する人に最適な内容となっています。
AIの法や倫理にも触れており、幅広い分野をカバーしています。
なお、その他のG検定の問題集を探している方は、以下の記事が参考になります。最新のシラバスには対応していないものの、G検定対策のベースが学べる書籍が紹介されていますので、ぜひご一読ください。
G検定を受験するならG検定対策講座!
G検定を受験するなら、ITセミナー「JDLA認定 G検定対策講座」の受講がおすすめです。最短でG検定合格を目指すための集中講座で、慶應義塾大学の栗原教授が監修しています。
受講形式は会場受講、ライブウェビナー、eラーニングから選べ、専門スタッフのサポートにより合格を徹底的に支援します。AIの基礎から応用までを扱うカリキュラムで、機械学習やニューラルネットワーク、最新のAI技術など幅広く学べます。
もちろん最新のシラバスにも対応したカリキュラムが用意されているので、ぜひ以下のリンクから詳細をご確認ください。
JDLA認定 G検定対策講座のスケジュール/お申し込みはこちら
G検定に関するよくある質問
ここでは、G検定に関するよくある質問をご紹介します。
G検定の過去問題が見れるサイトは?
G検定の過去問を解くなら、以下のサイトがおすすめです。
- PRIME STUDY
- DPro EXAM
- Exam App
なお、以下の記事でも過去問を一部紹介していますので、ぜひご一読ください。
G検定の難易度は?
例年の合格率は65~70%となっています。しかし経験者や有識者による受験が合格率を底上げしているのも事実なので、初心者や未経験者なら入念な対策は必須です。
G検定に合格するための勉強法は?
「書籍やインターネットを活用した独学」、もしくは「スクールやITセミナーの活用」になるでしょう。おすすめなのは後者のスクールやセミナーです。
G検定対策はどちらにせよ短期集中で学習することが大切です。しかし初心者が独学で取り組むとなると、インターネットや書籍でどうしても理解できない不明点が出くるうえ、期間も定められていないので、挫折に繋がりやすくなるからです。
セミナーを活用するなら、最短で合格を目指せる1Dayセミナー「JDLA認定 G検定対策講座」がおすすめです。
G検定に受かるにはどのくらい勉強時間が必要?
初学者の場合、おおまか100~150時間です。毎日3時間の勉強なら、約30~50日かかる計算になります。
ただ勉強時間は学習方法やライフスタイル、モチベーションでも大きく変わってくるので、一概にはいえないのが現状です。
G検定のおすすめテキストは?
最新シラバスに対応しているテキストなら、前述で紹介している「G検定公式テキスト第3版」は、かならず購入したいところです。その他、以下の記事でも紹介していますので、併せてお読みください。
G検定のシラバスまとめ
G検定のシラバス改訂によって、受験者はより実践的で包括的なAIの知識を身につけることができるようになり、業界のトレンドにも対応しやすくなります。改訂内容としては主に出題範囲の追加、および出題傾向の変更であり、より深い理解が求められるようになっています。
今回の改訂に完全対応した書籍や教材は現状(2024年9月時点)では限られていますが、JDLA公式サイトなどで改訂内容を正しく把握しつつしっかり対策を立てれば、AI分野でのキャリアをさらに発展させる一歩を踏み出せるでしょう。