IT技術の急激な拡大に伴い、AI分野も知名度と需要を着実に向上させています。新しく企業が設立されたり事業に参入する企業などが増えているさなか、大手電気機器メーカー「SONY」もグループ企業を立ち上げ本格的なAI業界への参入を果たしました。
今回の記事ではそんな「Sony AI」の会社概要からサービス内容、実際の導入事例などを見ていきます。本記事を読むことで根本的な概要を他人に説明できる程度まで理解できるでしょう。
日本が誇る大手企業はどのようなサービスで事業に参入しているのか、ぜひご一読のうえひとつの参考にしてください。
Sony AI(株式会社ソニーリサーチ)の会社概要
「Sony AI」は2020年4月に大手電気機器メーカー「SONY」が立ち上げた、AI技術を用いた研究組織です。主なミッションは以下のとおりです。
- AIの力で人々に大きな価値を提供すること
- AIやロボットの開発を推進し、人々の想像力および創造性を高めること
またその3年後の2023年4月にSONYの完全子会社として設立されたのが「株式会社ソニーリサーチ」です。こちらは主にSony AIの事業を軸としながら、デジタル仮想空間やゲーム、センシング事業などを手掛けます。
運営会社 | Sony AI(株式会社ソニーリサーチ) |
住所 | 東京都港区港南1丁目7番1号 |
創業日 | 2020年4月 |
社長 | 北野宏明 |
社員数 | 総計約113,000人(日本国内56,400人) |
事業内容 |
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主な取引先 |
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公式ホームページ | https://ai.sony/ |
Sony AIの事業内容
Sony AIでは、主に以下の4つの事業に注力しています。
- 食(Gastronomy)
- ゲーム(Gaming)
- イメージング&センシング(Imaging & Sensing)
- AI倫理(AI Ethics)
それぞれ、順を追って解説します。
事業内容①食(Gastronomy)
AIを活用した「食」についての革新的なソリューションおよび革新的な体験の提案を行っています。飲食企業やシェフと協同のうえ食材の強みや料理プロセスの解析をAIで行い、今以上に健康的でおいしい食の実現を目指すのが目的です。
他にも「国ごとにまったく異なる食文化の研究を踏まえた食体験の提案」や「食習慣の改善事業」「食品ロス削減」などにも取り組んでいます。
事業内容②ゲーム(Gaming)
主な目的は「ゲームにAIを活用し、革新的な技術を生み出すこと」です。
そのために「Sony Interactive Entertainment」と「PlayStation Studios」が協同し、没入感のあるゲーム体験の提供を目指しています。また、それに伴いハイレベルなゲーム開発者の育成事業も進められています。
事業内容③イメージング&センシング(Imaging & Sensing)
主に最先端技術を駆使したセンサーを提供する事業です。主な活用先として自動運転やAR(拡張現実)があります。
位置やものの認識、挙動の制御といったあらゆる動きを実現できることから、生活をよりよくしてくれるサービスに欠かせない存在になると期待されています。
事業内容④AI倫理(AI Ethics)
こちらは主に「AIの進化によって生じる課題の解決」に取り組む事業です。その課題とは具体的に
- 顔認証によるプライバシーの保護
- AIによって生成された画像や動画による誤情報拡散
などです。
これらを解決するため開発手法の技術向上、ガイドラインの刷新などを行いより安全にAI技術を普及させていくことが狙いです。
SONYの主なAIサービス内容
ここでは、SONYによる主なAIサービス4つをそれぞれご紹介します。
- Prediction One
- Neural Network Console
- NURO AI CRM
- NURO AI コンタクトセンター
Prediction One
クリックだけで高度な予測分析ができるツールです。予測分析とは「統計アルゴリズムを用いて過去のデータから将来の需要や売上を予測する手法」のことを指します。
過去のデータから見込み客の予測、入電数の予測、出荷数の予測が容易に行えるのが特徴です。これによって営業の最適化や過剰在庫の防止が実現できるとされています。
Neural Network Console
専門的な技術が必要なニューラルネットワークの設計およびディープラーニングの開発を、マウス操作で素早くかんたんに実行できるツールです。
過去に学習・実行したデータは自動で履歴として記録されるため結果の分析も容易です。なお根本的にディープラーニングの概要を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
NURO AI CRM
AI技術を用いたCRM(顧客管理システム)です。
会員登録ボタンを用意するだけで登録機能が実装され、自動で顧客情報ページを作成してくれます。また高度な集計機能も備わっているので、より多くの売上につなげられるでしょう。
NURO AI コンタクトセンター
こちらはいわゆるクラウド型の高性能コンタクトセンターサービスです。CRM連携やボイスチャット、オムニチャネルの機能が備わっており、よりスムーズなコンタクトセンター業務を実現できます。
さらにユーザーに合わせた柔軟なカスタマイズが可能で、セキュリティ性能の強化やリモート環境向けのものなどクラウドパッケージサービスも充実していることから、席数や業種問わず幅広く活用されています。
無料で使えるSony AIのサービスはある?
現状、SONYのAIサービスで無料のものは存在しません。
しかし、上記で紹介した「Prediction One」と「Neural Network Console」であれば無料体験版が存在します。具体的には「Prediction One」の場合は14日間、「Neural Network Console」だと2時間限定で無料枠が設けられています。
正確かつスピーディーな予測分析、そして直感的な操作による快適なディープラーニング開発が無料で体験できるので、ぜひ活用して検討することをおすすめします。
SONYのAIサービスの導入事例
ここではSONYのAIサービスの導入事例として、以下の3企業の例を紹介します。
- サッポロホールディングス株式会社
- サンスター株式会社
- 株式会社東ハト
サッポロホールディングス株式会社
清涼飲料水メーカー大手のサッポロホールディングス株式会社は「全社員DX人財化」を推進させることを目的として、SONYのPrediction Oneを用いた「スタートアッププログラム」を導入しました。
サッポロホールディングス株式会社は、導入の決め手および使用の感想として「他のサービスとは比べものにならないUIの見やすさと使い勝手のよさ」を挙げています。
サンスター株式会社
オーラルケア事業を展開しているサンスター株式会社は、各種オーラルケア製品の開発試験の効率化を目的にSONYのPrediction Oneを活用しています。製品に入った微生物を死滅させる「防腐効力」を測る試験で、結果が出るまでに時間がかかること、またそれにかかる労力と費用が膨大であることが課題でした。
そこで「Prediction One」無料体験版の利用を経てAI予測のポテンシャル、相当な工数の削減、また予測精度の高さに大きなメリットと可能性を感じたとしています。
株式会社東ハト
キャラメルコーンやハーベストでおなじみの大手菓子メーカー「株式会社東ハト」は、在庫管理の用途でPrediction Oneを活用しています。これまでの生産計画業務はベテラン社員の経験と勘で取り組んできたため、計画性が低下していることが課題でした。
Prediction Oneを活用して予測精度が向上したことで従来よりも計画性・安定性のある生産計画を実現したことに加え、メンバー間でのデータ分析に関するコミュニケーションも増えたといいます。また高評価のポイントとして「専門的な知識が必要とされがちな予測分析ツールが初心者でも簡単に使える」ことを挙げています。
SONYのAIエンジニアの平均年収
大手求人サイト「Indeed」の調査によると、SONYのAIエンジニアの平均年収は663万円です。日本国内のITエンジニアの平均年収が450万円~500万円なので、大きく上回っていることがわかります。
それだけでなく2020年4月に設立したAI技術研究組織「Sony AI」では、高度な人材に対して年収1100万円以上を約束する人事制度まで存在します。
最先端テクノロジーを誇るグローバル企業で、高度AI人材として認められるハイレベルな人材とはいえ、さすがは国内でも5本指に入るブランド企業ならではの取り組みといえるでしょう。なおITエンジニアの平均的な年収に興味のある方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
まとめ
Sony AIは2020年4月に大手企業SONYが設立したグループ企業です。社名のとおりAI事業をメインとしており、具体的には予測分析システムやAI技術を用いたクラウドCRM、ニューラルネットワーク設計ツールといったサービスを提供しています。
これらのサービスは大手飲料メーカーやお菓子メーカーの他にも、銀行などの金融業界や大学などあらゆるシーンで幅広く役立てられているのが現状です。さらに現在進行系でいろんな業界での導入事例を増やしているうえ、これから先の市場発展と技術の進化が濃厚であることから、より斬新かつ便利なサービスの誕生が期待されています。
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