GitHubとは、コードのバージョン管理やタスク管理を行うためのプラットフォームであり、開発者が効率よくプロジェクトを進めるための機能が揃っています。
AI開発などの高度で複雑なプロジェクトが増える中、開発者が効率よく業務を遂行するためには、GitHubの活用スキルが不可欠です。開発者としてGitHubスキルを習得し、高度なAI人材としてのキャリアを高めましょう。
この記事では、GitHubの概要と基本機能、そしてGitHubを活用した開発の流れについて解説し、さらに応用編としてGitHubに関連する資格も紹介します。この記事を読めば、GitHubを効果的に活用し、開発効率を大幅に向上させるための知識が得られるでしょう。
GitHubとは?
GitHubとは、ソフトウェア開発者がプログラムのコードを管理・共有するためのプラットフォームです。Gitというバージョン管理システムを使用しており、プロジェクトの変更履歴を保存し、複数人での協働作業を効率的に行えます。
プログラムコードの公開・非公開が選べるため、オープンソースプロジェクトの共有や、企業やチーム内でのプライベートなプロジェクト管理にも活用されています。
世界中の開発者によって大小さまざまなコミュニティが形成され、技術やプロジェクトに関する活発な交流が日々行われているため、エンジニアが知識やスキルを磨く場として最適です。
大規模なオープンソースプロジェクトの例としては、Microsoftが提供する人気のコードエディタ「Visual Studio Code」、Googleの機械学習ライブラリ「TensorFlow」、Facebook(現Meta)のJavaScriptライブラリ「React」などがGitHubで公開されています。
例えばE資格取得を目指してPythonを勉強するなら、アウトプットをGitHubに公開するのも良い方法です。学んだ内容を自分なりにコードに落とし込み、GitHubに公開することで、学習の進捗が可視化され、ポートフォリオとしても活用できます。
E資格の取得に向けたプログラミングの勉強方法を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
GitとGitHubの違い
GitとGitHubはしばしば混同されますが、それぞれ異なる役割を持つツールです。
Gitはソースコードのバージョン管理システムで、コードの変更履歴をローカル環境で管理し、複数人での開発作業を円滑にするためのツールです。Gitを使うことで、ファイルの変更履歴を追跡したり、過去のバージョンに戻したり、異なる作業内容を統合したりすることができます。
一方で、GitHubはそのGitを基盤にしたオンラインのプラットフォームです。インターネット上にリポジトリを公開・共有できるため、世界中の開発者とコードを共有し、レビューやフィードバックを受け取れます。
また、GitHubはGitにはないコラボレーション機能やプロジェクト管理機能、コードレビュー機能などを提供しており、個人開発からチーム開発まで幅広く活用されています。
このように、Gitはバージョン管理を行うツールであり、GitHubはそれをオンラインで活用するためのプラットフォームと考えるとわかりやすいでしょう。
GitHubの基本機能
GitHubには、効率的なソースコード管理と共同開発を支援する基本機能が豊富に備わっています。
主な機能を以下の表にまとめました。このような基本機能を適切に活用することで、効率的な開発と品質向上が実現します。
基本機能 | 概要 |
---|---|
リポジトリ | プロジェクトのコードやファイルを格納し、バージョン管理する場所。各リポジトリは履歴を記録しており、過去の状態に戻せるため、簡単にコード管理ができる。 |
プルリクエスト | コードの変更を他のメンバーにレビュー依頼する機能。新機能追加やバグ修正を提案し、チームの合意を得た上でコードを反映させる際に使用する。 |
イシュー (Issue) | バグやタスクを管理するためのディスカッションスレッド。課題の発見・解決を目的としてチームメンバー間で共有し、状況を一元管理できる。 |
ブランチ | メインコードを保護しつつ、個別の機能や修正を開発するための分岐。並行開発が可能で、完成後はメインブランチにマージできる。 |
コミット | 変更をリポジトリに反映する際の単位。具体的な変更点を「コミットメッセージ」として残すことで、チーム全員が履歴を明確に把握できる。 |
Wiki | プロジェクトに関するドキュメントをまとめる機能。仕様や開発手順を記載し、情報をチーム内で簡単に共有できる。 |
プロジェクトボード | カンバン方式のタスク管理機能。各タスクを「To Do」「In Progress」「Done」などのステータスに分類し、進捗状況を視覚的に把握できる。 |
アクション (GitHub Actions) | CI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)を自動化するための機能。テストの自動実行やビルドを自動化し、開発効率を向上する。 |
リリース | プロジェクトの新バージョンを公開する際の機能。リリースノートを付加することで、ユーザーが変更点や追加機能を理解できる。 |
GitHubを活用した開発の流れ
ここでは、実際にGitHubを活用したAI開発を行う際の基本ステップについて解説します。
STEP1:プロジェクトのリポジトリ作成と初期設定
GitHubでAI開発を始めるには、まずプロジェクト用のリポジトリを作成し、初期設定を行います。リポジトリはプロジェクトのコードやデータを一元管理し、バージョン履歴を保持するため、開発の進行を効率的に追跡しやすくなる重要な場所です。
GitHubの「New Repository」からリポジトリ名を設定し、プロジェクトの公開範囲をプライベートまたはパブリックから選択します。
さらに、プロジェクトをわかりやすく管理しやすくするために、以下の設定もやっておくといいでしょう。
- プロジェクトの概要や目標を「README」として書く
- リポジトリに含めたくない一時ファイルや設定ファイルなどを「.gitignore」として指定しておく
- ライセンス設定を追加する
STEP2:コーディング
GitHubでは「ブランチ」を活用することで、効率的かつ安全な開発が行えます。ブランチとは、メインのコード(メインブランチ)から独立して開発を進めるための分岐した枝のようなものです。
新機能の追加やバグ修正など、プロジェクトに影響を与えずに自由に作業できる環境を提供しています。
例えば、新しい機能を追加する場合にはメインブランチから「feature/〇〇」ブランチを作成し、そのブランチ内でコーディングを行います。同様に、バグ修正であれば「fix/〇〇」などの名称でブランチを分け、個々の目的に応じて整理しておくと管理が簡単です。
このようにブランチを適切に分けることで、メインのコードに影響を与えることなく複数のタスクを並行して進められ、他の開発者との衝突を避けられます。
作業が完了したら、プルリクエストを作成して他のメンバーにレビューを依頼し、問題がなければメインブランチにマージ。こうすることで、安定したコードベースを保ちながら、プロジェクトを進めることが可能になるのです。
STEP3:自動テストとデプロイ
コーディングが完了したら、コードの品質を保証するためにテストを行い、デプロイする準備をします。GitHubでは、GitHub Actionsという機能を使って自動テストやデプロイのプロセスを自動化できます。
GitHub Actionsは、ワークフローと呼ばれる設定ファイルに従って、テストやビルド、デプロイなどの一連の作業を自動で実行するCI/CD(継続的インテグレーションと継続的デリバリー)ツールです。
例えば、プルリクエストが作成された際に自動でテストを走らせ、コードに問題がないか確認する設定をすることで、開発者は手動でテストを行う手間が省け、エラーにもすぐに対応できます。
またテストに合格したコードは、本番環境へ自動的にデプロイする仕組みも組み込めるため、スムーズに本番環境へ反映でき、作業のスピードを向上できるのです。
開発をスムーズにするGitHubの活用法
ここでは、開発で役立つGitHubの活用方法について解説します。
ソース管理で競合を解消
複数のメンバーが同時にコードを書き進めていると、どうしても変更が重なり、競合が発生しやすくなります。しかし、GitHubのリポジトリとブランチ機能を活用すれば、各メンバーが自分専用のブランチで作業を行い、変更内容を独立して管理できます。
これによって、直接的な競合を避けながら開発を進められるため、作業の分担や効率が向上するのです。
またコードに競合が発生した場合も、GitHub上で変更内容を可視化しながら解消できるため、チーム全体で安心して開発を進められます。
コードレビューを効率化
GitHubのプルリクエスト機能を使えば、開発者が行った変更内容をチームに共有し、他のメンバーからのフィードバックや承認を得ることが可能です。
レビュー対象のコード差分がわかりやすく表示されるため、GitHub上で具体的な修正箇所や改善案がすぐに確認でき、コメント機能を通じて指摘や議論もスムーズに進みます。
また、レビューの進行状況や承認状況も視覚的に管理できるため、誰がどの段階でレビューをしているのかを把握しやすくなり、レビュー漏れを防止できます。
テストとデプロイを自動化
通常、コードの変更が加わるたびに手動でテストやデプロイを行うのは手間がかかりますが、GitHub Actionsを活用すれば、特定の条件を満たすと自動でテストが実行され、すぐに結果を確認できます。
GitHub Actionsによってコードにエラーがないかを早い段階で発見できるので、品質を保ちながら開発のスピードを向上でき、さらにテストがパスすればそのまま本番環境へのデプロイも自動で行う設定が可能です。
ミスのリスクを軽減し、手間を省いてリリースの頻度を上げられるため、生産性向上に大きく貢献できるでしょう。
タスク管理と進捗管理
GitHubのイシュー機能を使えば、バグ修正や機能追加などのタスクを簡単に作成し、各タスクに担当者や期日、優先度を設定できます。
また、プロジェクトボード機能を使うと、タスクを「未着手」「進行中」「完了」といったステータスごとに視覚的に管理できるため、進捗状況が一目でわかります。
このように、タスクの管理がしやすくなることで、チーム全体での共有や進行状況の確認がスムーズになり、開発における無駄を削減しやすくなります。
各メンバーが自分の役割を把握し、効率的に作業を進められるため、チームの生産性が向上し、プロジェクト全体が円滑に進行できるようになるでしょう。
GitHubに関連する資格
GitHubについての知識を深めることで、関連の資格を取得することが可能です。ここでは、GitHubに関連する資格についてご紹介します。
GitHub Certifications
GitHub Certificationsは、GitHubのスキルや知識を公式に証明するための資格です。GitHubを利用する際に必要な基本的な操作から、開発ワークフローやCI/CDの理解まで幅広い知識が対象となり、エンジニアとしての実力をアピールする重要な手段となります。
GitHub認定資格には、開発者向けの「GitHub Advanced Security」や「GitHub Actions」に関連する認定などがあり、実務で役立つスキルセットを証明できます。
これらの資格は、特に企業や開発チーム内でのGitHub活用が進む中で需要が高まっています。
公式のGitHub Certificationsを取得することで、GitHubを通じたコラボレーションやセキュリティ対策の実力が証明でき、転職活動やキャリアアップにも有利に働くでしょう。
Microsoft DevOpsエンジニアエキスパート認定資格(AZ-400)
Microsoft DevOpsエンジニアエキスパート認定資格(AZ-400)は、Azure DevOpsとGitHubを活用した効率的なCI/CDパイプラインの設計や管理を行えるスキルを証明する資格です。
この認定資格は、ソフトウェア開発と運用を一貫して自動化し、開発チームのコラボレーションを促進することに重点を置いているため、Azure DevOpsソリューションとともにGitHubを実装できるスキルが役立ちます。
AZ-400認定資格の取得によってDevOpsにおける包括的なスキルセットが証明できれば、エンジニアとしての市場価値を高められるだけでなく、デジタル人材としての信頼性が向上するでしょう。
Microsoft認定資格にはさまざまな種類があり、それぞれに対象とする範囲や難易度が異なります。こちらの記事では、Microsoft認定試験の中でも機械学習モデルの開発の実務スキルを証明する「DP-100」について詳しく解説していますので、興味のある方は参考にしてください。
GitHubまとめ
GitHubはコードのバージョン管理やプルリクエスト、イシュー管理、GitHub Actionsによる自動化など、開発の流れをスムーズにするツールが揃っており、AIエンジニアには必須のプラットフォームです。
オープンソースプロジェクトに参加したり、他の開発者のコードを学んだりする機会も得られます。
こうしたGitHubの機能やワークフローに習熟したら、次のステップとしてGitHub関連の資格に挑戦してみるのも良いでしょう。
資格取得を通じてGitHubの知識と実践力をさらに高め、AIエンジニアとしてのキャリアの成長にも繋げられます。