Microsoft Certified Solutions Associate(MCSA)は以前から多くのITプロフェッショナルに支持されてきましたが、最近では資格の廃止が発表され、新たな認定資格が登場しています。これにより、従来のMCSAの代わりにどのような資格が運営されているのか、気になる方は多いでしょう。
この記事では、そのMCSAの廃止後の運営状況や詳細について詳しく解説していきます。
Microsoft Certified Solutions Associateとは
Microsoft Certified Solutions Associate (MCSA) は、Microsoftの技術認定資格「MCP」に分類される資格の総称で、主に中級レベルのITプロフェッショナル向けに設計されました。
主にMicrosoft製品やサービスの実装、管理、トラブルシューティングに関するスキルを証明できます。IT業界でのキャリアアップや専門性の証明としてたいへん有用で、実務で重宝する知識を深めるための基盤となることが特徴です。
概要をまとめると、以下のようになります。
名称 | Microsoft Certified Solutions Associate (MCSA) |
認定資格 |
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主要ジャンル |
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設問数 | 試験によって異なり、平均40〜60問 |
制限時間 | 試験によって異なり、平均120分 |
難易度 | 中級(基本的な知識と実務経験が必要) |
廃止日時 | 2020年6月30日 |
ただMCSAは、2020年6月で既に廃止しています。現在の運用体制やその理由は後述します。
そもそもMCPとは?
MCPとはMicrosoft Certified Professionalの略称のことで、Microsoftが提供する資格認定プログラムの総称です。もともとは上記で説明した「MCSA」、そして「MTA」「MCSE」「MCSD」の4つで構成されていました。
主に特定の製品やサービスに関連する内容で、それに伴う技術に関するプロフェッショナルであることを証明するのに役立てられます。
Microsoft Certified Solutions Associate廃止後の現在は?
2020年6月にMCSAが廃止されて以降は、大きく以下のように2つに分類され、資格運営を継続しています。
- fundamentals認定資格
- ロールベース認定資格
MCSAにおける「ロールベース」とは?
ロールベースというのは、Developer(開発者)やAdministrator(管理者)、またデータエンジニアなどのように、役割・職務に応じた資格のことを指します。Microsoft資格の世界では、「役割」や「科目」のことを「ロール」と呼んでいるからです。
ちなみに一方のfundamentalsというのは、主に「製品」「商品」のことを指します。つまりfundamentals認定資格というのは、「Azure」や「Dynamics 355」をはじめとする、マイクロソフト各製品に関連する資格のことを指しているのです。
なので廃止後は、役割向けのロールベース認定資格、そして特定の商品向けのfundamentals資格と、大きく2つに分類されているというわけです。
fundamentals資格一覧
Microsoft Certified Solutions Associate廃止後の分類のひとつである、「fundamentals認定資格」として分類されるのは、主に以下の8つです。
名称 | 難易度 | 該当する製品 |
Microsoft 365 Certified: Fundamentals | 初級 | Office365 |
Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals | 初級 | Azure |
Microsoft Certified: Azure Data Fundamentals | 初級 | Azure |
Microsoft Certified: Azure Fundamentals | 初級 | Azure |
Microsoft Certified: Dynamics 365 Fundamentals (CRM) | 初級 | Dynamics 365 |
Microsoft Certified: Dynamics 365 Fundamentals (ERP) | 初級 | Dynamics 365 |
Microsoft Certified: Power Platform Fundamentals | 初級 | Power Platform |
Microsoft Certified: Security, Compliance, and Identity Fundamentals | 初級 | Azure |
主にOffice365やAzure、またDynamics 365を主体とした資格が並んでいることがわかります。そして公式では、上記いずれも初級レベルの資格であることを謳っています。
そのためこれからキャリアチェンジを目指している方、また業務で用いられる特定のツールや製品をより深く学ぶ必要がある方にとって、有益な選択肢となるでしょう。
なお、fundamental認定資格の中でもとくに代表的で人気のある「Azure認定資格」については、以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひご一読下さい。
ロールベース認定資格一覧
一方、役割・管理者向けの「ロールベース認定資格」には、2024年7月現在で以下のようなものがあります。
- Microsoft 365 Certified: Administrator Expert
- Microsoft 365 Certified: Collaboration Communications Systems Engineer Associate
- Microsoft 365 Certified: Endpoint Administrator Associate
- Microsoft 365 Certified: Teams Administrator Associate
- Microsoft Certified Educator
- Microsoft Certified: Azure AI Engineer Associate
- Microsoft Certified: Azure Administrator Associate
- Microsoft Certified: Azure Data Engineer Associate
- Microsoft Certified: Azure Data Scientist Associate
- Microsoft Certified: Azure Database Administrator Associate
- Microsoft Certified: Azure Developer Associate
- Microsoft Certified: Azure Network Engineer Associate
- Microsoft Certified: Azure Security Engineer Associate
- Microsoft Certified: Azure Solutions Architect Expert
- Microsoft Certified: Cybersecurity Architect Expert
- Microsoft Certified: DevOps Engineer Expert
- Microsoft Certified: Dynamics 365 Business Central Functional Consultant Associate
- Microsoft Certified: Dynamics 365 Customer Insights (Journeys) Functional Consultant Associate
- Microsoft Certified: Dynamics 365 Customer Service Functional Consultant Associate
- Microsoft Certified: Dynamics 365 Field Service Functional Consultant Associate
- Microsoft Certified: Dynamics 365 Finance Functional Consultant Associate
- Microsoft Certified: Dynamics 365 Sales Functional Consultant Associate
- Microsoft Certified: Dynamics 365 Supply Chain Management Functional Consultant Associate
- Microsoft Certified: Dynamics 365 Supply Chain Management Functional Consultant Expert
- Microsoft Certified: Dynamics 365: Finance and Operations Apps Developer Associate
- Microsoft Certified: Dynamics 365: Finance and Operations Apps Solution Architect Expert
- Microsoft Certified: Identity and Access Administrator Associate
- Microsoft Certified: Information Protection and Compliance Administrator Associate
- Microsoft Certified: Power Automate RPA Developer Associate
- Microsoft Certified: Power BI Data Analyst Associate
- Microsoft Certified: Power Platform Developer Associate
- Microsoft Certified: Power Platform Functional Consultant Associate
- Microsoft Certified: Power Platform Solution Architect Expert
- Microsoft Certified: Security Operations Analyst Associate
- Microsoft Certified:Dynamics 365 Business Central Developer Associate
- abric Analytics Engineer Associate
- Microsoft 認定: Windows Server Hybrid Administrator Associate
主にDeveloperとつくものは開発者向け、Administratorとつくものは管理者向け、その他機能コンサルタントやデータアナリスト、データベース管理者などさまざまな役職に向けた資格が混在しています。
難易度は前述のfundamentals認定資格とは異なり、いずれも中~上級です。どの試験に挑戦するとしても、入念な準備が必須と言えるでしょう。
なお、以下の記事では「データサイエンティスト」に特化した国際資格をまとめています。ゆくゆくAIやデータサイエンス分野で活躍したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
MCSAに関するよくある質問
ここでは、MCSAに関するよくある質問を紹介します。
MCSAの後継資格は何?
廃止後は、「fundamentals認定資格」と「ロールベース認定資格」という2カテゴリに分けられ、今もなお資格運用が続いています。特定の資格ひとつに後継されたわけではなく、fundamentalsには8種類、ロールベースには37種類(2024年7月現在)の資格が存在します。
Microsoftが複数の資格を廃止した狙いは?
「ロールベースのトレーニングへ移行するための取り組みのため」としています。そしてよりピンポイントな職務に直結するスキルセットを証明できる資格を提供するための一環として、2つの形態で資格を運営しています。
Microsoft Certified Solutions Associateまとめ
MCSAは2020年にすでに廃止され、新たな形態の認定資格に置き換えられました。具体的にはfundamental認定資格とロールベース認定資格の2種類に分類され、総計40種類を超える資格が存在します。
新しい資格制度によって、さらにニッチな役職や製品にも柔軟に対応できるようになったので、キャリア発展のために挑戦してみてはいかがでしょうか。