E資格は、AI技術の中でも特に注目度の高いディープラーニングの実装スキルを証明できるAIエンジニア向けの資格です。
IT業界のみならず、製造業や金融業、医療など幅広い分野でDXやIoTといったデジタル化が加速する中、E資格への関心は年々高まっています。
この記事では、E資格の概要や難易度、G検定との違い、受験方法について詳しく解説していきます。
E資格とは
E資格は、ディープラーニングの知識とスキルを有することを証明する民間資格です。
E資格は、AIエンジニアとして活躍するために必要な知識や技術、プログラミング能力を評価するもので、世界で初めて設立されたAIエンジニア向けの認定資格でもあります。
E資格を主催するのは、日本AI研究の第一人者・東京大学大学院の松尾豊教授が理事長を務めるJDLA(一般社団法人日本ディープラーニング協会)です。
E資格には、日々進化するAI技術のスキルを可視化するため資格に実施年号が表記されています。
ディープラーニング:人間の脳を模倣したAIの学習方法。画像認識や音声認識に使われている。
E資格創設の背景
JDLA(一般社団法人日本ディープラーニング協会)がE資格を創設した背景には、ディープラーニング技術の急速な発展とそれに伴うAI人材の深刻な不足という課題がありました。
経済産業省が2016年に公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」では、2020年にAI関連人材が約48,000人不足すると試算されていました。
画像認識や音声認識など多岐にわたる分野でディープラーニングの応用が進む中、JDLAは2017年にAI人材の育成を目的としてE資格とG検定を創設。E資格とG検定の合格者数は2020年までに累計2万人を超え、現在も日本のAI人材基盤形成に大きく寄与しています
E資格受験の概要
以下では、E資格受験の概要を表で紹介します。
項目 | 内容 |
試験時間 |
|
試験内容 | 知識問題(多肢選択式・100問程度) |
試験会場 | 各地の指定試験会場にて受験 |
会場選択 | 受験試験会場お申し込み時に選択 |
出題範囲 | シラバスより出題 |
受験資格 | 過去2年以内にJDLA認定プログラムを修了 |
受験費用(税込) |
|
E資格とG検定の違い
E資格とG検定は、それぞれの頭文字に注目するとその違いが分かります。
E資格の「E」は「Engineer(エンジニア)」、G検定の「G」は「Generalist(ジェネラリスト)」を意味します。
つまり、両資格の最大の違いは、その目的にあります。
E資格がAIシステムの構築・実装ができるエンジニアの育成を目指しているのに対し、G検定はAI技術を事業に活用できるジェネラリストの育成を目的とした資格です。
E資格とG検定は、AI人材の異なる役割に応じたスキルを評価・認定する補完的な資格であるため、E資格の前段階としてG検定を受験するケースも見られます。
G検定については以下の記事で詳しく解説しています。
取得するメリットについてもお伝えしているので、受験を検討している方はぜひご一読ください。
E資格の難易度・合格率
E資格受験にあたり、難易度と合格率を把握しておくことが大切です。
以下では、E資格の難易度と合格率について解説しましょう。
E資格の難易度
E資格は、国内最高レベルのAIエンジニアの資格として広く認知されており、その難易度の高さも知られています。しかし、どの程度高難易度なのか分かりにくく感じる方もいるでしょう。
そこで本項では、E資格の難易度と位置づけをより深く理解するために、同じくAIエンジニアのスキルを証明する「AI実装検定」と比較してみました。
上記添付の図から明らかなように、E資格はAI実装検定のS級とA級の中間に位置づけられています。
この階層構造を踏まえると、E資格はAI実装検定のS級より若干難易度が低いことが推察されます。
ただし、AI実装検定S級は画像認識や自然言語処理など、特定分野におけるスキルを評価する資格なので、E資格とは受験内容が同じではありません。
両者の評価対象範囲を考慮したうえで比較すると、E資格はAI実装検定S級とほぼ同程度の難易度と認識して良いでしょう。
E資格の合格率
上記データより、E資格の合格率は65%から75%の範囲で推移していることがわかります。
特に、2021年以降は70%前後で安定しており、一定の合格基準が維持されているといえるでしょう。
この高い合格率の一因は、受験の必須条件「JDLA認定プログラム修了」によるものです。
JDLA認定プログラムを受講することで、E資格に必要な知識やスキルを体系的に学習できるため、受験者のレベルが底上げされ、結果的に高い合格率につながっていると考えられます。
E資格対策ディープラーニング短期集中講座は、JDLA認定プログラムを受講できるセミナーです。
受講期間はわずか4日間、学習スタイルを3種類(会場受講、オンライン、動画視聴)から選べるセミナーなので多忙な方でも気軽にJDLA認定プログラムの学習に取り組めます。
E資格のシラバス
以下では、E資格のシラバス(試験範囲)を以下の表にまとめました。
分野 | 項目 |
数学的基礎 |
|
機械学習 |
|
深層学習の基礎 |
|
深層学習の応用 |
|
開発・運用環境 |
|
なお、2022年後期試験から、PyTorchまたはTensorFlowのいずれかを選択して受験する方式が導入されました。試験開始時に選択が必要で、選択後の変更はできません。
E資格は、2024年8月からシラバスの改定が行われています。詳しくは以下の記事をご参照ください。
E資格を取得するメリット
以下では、E資格を取得するメリットについて解説しましょう。
メリット①AIエンジニアとしての評価向上
E資格は、AIやディープラーニングの実装能力を証明する資格として業界で広く認知されています。
E資格保持者は即戦力として高く評価され、企業の重要なAIプロジェクトに参画する機会が飛躍的に増大します。
AI開発がますます加速する中、E資格保持者への需要は高まる一方です。
社内での評価向上はもとより、資格手当の支給など、具体的なキャリアアップにつながるメリットも大いに期待できるでしょう。
メリット②将来性の高い分野への投資
AI市場は、今後さらなる成長が見込まれており、IDCの予測によると2026年には8,120億円を超える規模に達するとされています。この成長に伴い、AIエンジニアの需要はますます高まることが予想されます。
E資格を取得することは、この成長市場で最先端のAI技術を駆使し、革新的な製品やサービスを生み出すキャリアを築くための最短ルートです。
高度なAI人材への報酬は年々上昇傾向にあるため、E資格は、将来性の高いAI分野への投資として、最も高いリターンが期待できる選択肢の一つといえるでしょう。
メリット③自己成長と自信の獲得
E資格の取得は、自己成長を促進する貴重な機会でもあります。
AIの高度な知識と実装スキルを習得するためには、継続的な学習と努力が欠かせません。
E資格取得に向けた学習過程を通じて、問題解決力や論理的思考力、創造性が飛躍的に向上し、AIエンジニアとしての確かな自信が培われます。
最先端の技術を極めるという達成感は、今後のキャリアで直面する困難に対処する力を育成し、さらなる挑戦意欲を掻き立てる強力な推進力となるでしょう。
E資格受験の流れ
続いて、E資格受験の流れについて解説します。
受験資格について
E資格を受験するためには、試験日から遡って2年以内にJDLA認定プログラムを修了していることが必須条件となります。
試験予約の際には、修了者ナンバーと修了日の入力が求められますので、事前に認定プログラム実施機関から情報を入手しておきましょう。
予約開始
E資格の予約期間は、試験日の約3ヵ月前~受験日前日23:59までです。
人気の試験日程や会場は、早期に予約が埋まってしまう場合があるので、試験3ヵ月前を目安として早めに申請しましょう。
2024年8月30日~2024年9月1日に開催した試験の予約受付開始日時:2024年6月3日9:00~
予約変更やキャンセルは受験開始24時間前まで受け付けています。
オンライン予約手順
E資格はオンライン上で予約を受け付けています。
予約手順は以下の通りです。
- 新規ユーザー登録
- pearson.comからのメール受信を許可に設定
- 氏名は以下の通り入力
・First Name:名
・Last Name:姓
・ミドルネームがない場合は空欄 - バウチャーやプロモーションコードがある場合は入力
- 予約完了メールの受領
これで申し込みは完了です。
受験料の支払いは、クレジットカード、バウチャー、プロモーションコードのみ対応しています。予約完了メールの確認後はメールに記述してある内容を参考に受験してください。
試験結果は3週間以内を目途に、メールにて連絡がきます。
受験当日の注意事項
E資格受験当日、受験時間に遅刻した、もしくは氏名の不一致があった場合、受験資格は失効し、返金にも対応していないので十分注意しておきましょう。
具体的な注意事項は以下の通りです。
- 試験開始15分前までに来場
- 有効な本人確認書類2点が必要
- 学生割引利用者は学生証必携
- フレームワークの選択(PyTorchまたはTensorFlow)
- 電卓は画面上の機能を使用(持込不可)
- メモはホワイトノート(貸出)を使用
なお、試験開始前には、機密保持契約への同意が必要です。
同意しない場合は受験できず、返金もできません。
E資格取得におすすめの学習方法
E資格は独学で取得するには難易度が高く、多くの学習時間を要してしまいます。
特に、モチベーション維持に不安がある方にとって非常に高い壁といえるでしょう。
E資格は、実践力を養える課題・演習の取り組みや体系的かつ効率的な学習が合格へのカギを握っています。これらの学習方法を実践し、最先端の知識を効率的に得るために最適なのは、E資格取得に特化したセミナーの受講です。
E資格対策ディープラーニング短期集中講座 |ProSkilll
E資格対策ディープラーニング短期集中講座は、4日でE資格取得を目指せる短期型セミナーです。AIエンジニア未経験の方でも安心して受講できるよう、数学やディープラーニング、プログラミングの基礎を学ぶ「E資格基礎講座」からスタートします。
本講座はJDLA認定のプログラムであり、E資格試験で問われる確率統計、線形代数、Pythonプログラミングといった全範囲を網羅。ディープラーニングの理論だけでなく、ニューラルネットワークの実装、画像認識、自然言語処理など、実際の業務で活用できるスキルを短期間で習得できます。
受講期間 | 4日 |
受講形式 |
|
受講料 |
|
E資格についてまとめ
E資格は、ディープラーニングの知識と実装能力を証明する資格です。
デジタル化社会の加速化に伴い、今後ますますE資格取得者の需要が高まると予想されています。
E資格は高度な専門知識を必要とするため、合格するためには、体系的な学習と実践的な演習を組み合わせた学習環境が不可欠です。
E資格対策ディープラーニング短期集中講座は、短期間で効率的にE資格取得を目指せる実践的な講座です。AIエンジニアを目指す方や、ディープラーニングのスキルアップをしたいという方は、ぜひこの機会に受講して、最先端のAI技術を習得し、キャリアアップにつなげましょう。