【2024】プロトコルとは何?概要・必要性・種類を徹底解説

【2024】プロトコルとは何?概要・必要性・種類を徹底解説

私たちが日常的に利用しているインターネットやネットワークの背景には、さまざまな技術が存在しており、「プロトコル」もその中のひとつとして重要な役割を担っています。

一言で言えば、異なるシステムや機器が情報を正確かつ効率的にやり取りするための共通ルールです。なぜこのようなルールが必要なのか、わからない方も多いでしょう。

今回の記事ではプロトコルの基本的な概念に触れ、具体的な種類やその必要性について解説していきます。

プロトコルとは?

プロトコルとは、コンピュータ同士がデータを通信する際に使用する「約束事」や「ルール」全般のことを指します。
そもそも、異なる機器やシステム間でデータを正確にやり取りするためには共通の言語や手順が必要であり、これをプロトコルと呼んでいます。

たとえば、インターネットでの情報の送受信では「TCP/IP」プロトコルによってデータが細かく分割され、目的地で正しく再構築されます。
また、プロトコルにはそれぞれ特定の目的に応じたものがあり、たとえば「HTTP」はウェブサイトの表示、「SMTP」はメール送信に使われます。

プロトコルによるルールがなければ異なるメーカーの機器間での通信が混乱し、正しく機能しなくなります。プロトコルは安定した通信と情報交換において、欠かすことはできません。

プロトコルは何に必要とされる?

主に以下のようなものに必要とされます。

  1. 安定的な通信や動作の実現
  2. 安全性の高い通信の実現

それぞれ解説します。

必要性①安定的な通信や動作の実現

異なる機器やシステム間において、安定した通信や動作を実現するために必須です。たとえば、通信のとき、送受信側が同じルールに従わなければデータが正しく伝達されず、エラーや通信不良の原因になるためです。

プロトコルが定める手順や形式によってデータが順序よく整理され、信頼性のある接続が維持されます。ネットワーク上での円滑な情報交換や効率的な通信には欠かせない存在です。

必要性②安全性の高い通信の実現

安全性の高い通信を実現するためにも欠かせません。とくにインターネット上では、いつの時代でもデータの盗聴や改ざんなどのリスクが耐えないためです。

プロトコルには暗号化技術や認証手順が組み込まれているため、情報が送受信される際の不正アクセスやデータ漏洩を防ぐことができます。
たとえば、HTTPSの場合、暗号化を利用してWebサイトの通信を保護することで、通信内容を第三者から守り信頼できる接続を実現させています。

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TCP/IPプロトコルの概要

TCP/IPプロトコルの概要

データ通信を行う際の手順や規則の総称と説明しました。その中でもとくに代表的で重要な役割を担うのが「TCP/IPプロトコル」です。

こちらはインターネットおよびネットワーク通信を支える標準的な体系で、複数の異なる機器間でデータを効率的かつ正確に送受信するためのルールが定められています。

TCP/IPは4つの層で構成されています。層の名称と概要を一覧表にすると以下のとおりです。

層の番号 層の名前 概要
第1層 ネットワークインターフェース層 実際の物理的なデータ転送を行い、データをネットワーク上で送信する。

例: Ethernet, Wi-Fi, PPP

第2層 インターネット層 データがネットワークを通じて正しい経路で送信されるようにする。

例: IP, ICMP

第3層 トランスポート層 通信の信頼性を提供し、データを適切に分割して送受信する。

例: TCP, UDP

第4層 アプリケーション層 ユーザーが直接利用するアプリケーションやサービスの通信を管理する。

例: HTTP, FTP, SMTP, POP3

アプリケーション層はプログラム同士の通信を管理するもので、トランスポート層は信頼性のあるデータ転送を実現します。

インターネット層はデータの経路を決めてIPアドレスを使ってルーティングするもので、ネットワークインターフェース層は物理的な伝送を担い、機器とネットワークをつなぎます。

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プロトコルの種類

プロトコルの種類

この章では、とくに代表的な種類を以下のとおり紹介します。

  1. HTTP
  2. SMTP
  3. FTP
  4. POP3
  5. UDP
  6. TCP
  7. IP
  8. DHCP
  9. PPP
  10. Ethernet
  11. PCI Express
  12. Wi-Fi

主な種類①HTTP

WebブラウザとWebサーバー間で情報をやり取りするもので、主にWebページの表示に使用されます。クライアントからリクエストを送り、サーバーがレスポンスとして情報を返す仕組みです。

HTTPは状態を保持することもないため、ページの再読み込みや複数リクエストでも独立して通信が行われます。

主な種類②SMTP

電子メールを送信する際に使用されるもので、主にメールサーバー間やクライアントからサーバーへの送信に使われます。

メールを正しい受信者に届けるための手順を定義しており、通常使用しているポートは25番となっています。信頼性は高いですが、暗号化には追加の設定が必要です。

主な種類③FTP

コンピュータ間でファイルを転送するためのもので、大容量ファイルや複数ファイルの転送が簡単に行えます。

サーバーとクライアントの間で接続を確立し、データのアップロードやダウンロードを行います。セキュリティ強化にはSFTPなどの暗号化技術が必要になります。

主な種類④POP3

メールをサーバーから取得し、ローカル環境に保存するためのものです。これによってインターネット接続がない状況でも後でメールを読むことが可能となっています。

メールがサーバー上に残らないことから容量を節約できるものの、複数デバイスでの同期が難しいというデメリットもあります。

主な種類⑤UDP

UDPはデータ通信において高速性を重視したもので、コネクションの確立なしにデータを送信します。

エラーチェックや再送制御が行われないため通信の遅延が少なく、動画ストリーミングやオンラインゲームに適していますが、通信の信頼性は低い点がデメリットです。

主な種類⑥TCP

TCPはデータを信頼性高く送受信するためのもので、コネクションの確立とデータの分割・再構築、エラーチェックを行います。

通信の安定性が必要なWebサイトの閲覧およびファイル転送に適しており、パケットの順序や完全性を保証するため再送制御も可能です。

主な種類⑦IP

ネットワーク上でデータを目的地まで運ぶためのもので、IPアドレスを使用して送信元と送信先を識別します。

主にパケット通信の役割を担い、インターネット全体で情報を適切な経路で送信します。前述のTCPと組み合わせられ、「TCP/IP」などと呼ばれることが一般的です。

主な種類⑧DHCP

DHCPはネットワークに接続する端末に自動的にIPアドレスを割り当てます。これによって管理者は手動で設定しなくてもネットワークの接続が可能になり、かつIPアドレスの重複を防ぐこともできるため、ネットワーク管理が容易になります。

通常、ルーターがこの役割を果たします。

主な種類⑨PPP

2つのネットワークデバイス間でデータ通信を行うもので、ダイヤルアップ接続や一部のVPN接続で使用されます。

主に接続の確立・認証・暗号化などの機能を担っており、シリアル通信で使用することが一般的です。安定した接続を維持しながらデータ送信を行います。

主な種類⑩Ethernet

Ethernetは有線LANで使用されるネットワーク技術の標準規格です。コンピュータ同士を直接接続してデータをやり取りし、高速で安定した通信を実現します。

多くのネットワークインフラに組み込まれており、家庭用から企業用まで幅広く利用されています。主に物理層とデータリンク層で動作します。

主な種類⑪PCI Express

PCI Expressはコンピュータ内でデータを高速に転送するためのインターフェース規格です。主にグラフィックカードやSSDなどの接続に用いられ、従来のPCIよりも速度が大幅に向上しています。

データはレーンごとに並列に転送され、高い帯域幅が実現されます。

主な種類⑫Wi-Fi

Wi-Fiは無線でデータ通信を行うための技術標準で、家庭やオフィスでのインターネット接続を提供します。

ケーブルなしで複数のデバイスをネットワークに接続できるため利便性がとても高く、さらに暗号化によるセキュリティ機能もあることから、私生活・ビジネス問わずさまざまなシーンで活用されています。

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プロトコルに関するよくある質問

この章では、よくある質問を紹介していきます。

プロトコルの意味をわかりやすく教えてください

コンピュータやネットワーク機器同士が通信する際のルールや手順の総称を指します。たとえば人が話すときには共通の言語が必要なように、異なる機器が情報を正しく理解してやり取りするために必須というわけです。

データの送信・受信、エラーチェック、再送などの動作が統一するため、スムーズで効率的な通信を実現してくれます。インターネットやメールの送受信、ファイルの転送などあらゆるネットワーク通信で利用されており、安定した通信を可能にしています。

ネットワークプロトコルとは?

「ネットワーク通信を行ううえでの」ルールや手順の総称のことです。どちらも共通のルールであることに違いはありません。

そもそも、プロトコル自体が通信に関する決まりごとを指しているので、単なる呼び方の違いともいえます。ちなみに本記事で紹介しているものもすべてネットワークプロトコルに該当します。

プロトコルの事例は?

わかりやすい例でいうとEthernetが有線LAN、Wi-Fiが無線LANです。またHTTPはWebページ閲覧、SMTPおよびPOP3はメールの送受信、そしてFTPはファイル転送ソフトなどに用いられています。

第二~三層にあるTCP、UDP、IPなどは、おおよそ上記の間の通信過程で用いられるプロトコルとなっています。

プロトコルまとめ

プロトコルはネットワークや通信を円滑にするために不可欠なルールや手順を定めた仕組みです。これによって異なるデバイスやシステム間での情報の正確なやり取りが実現され、インターネットをはじめとする日常的な技術が成り立っているのです。

さまざまな種類のものが存在し、それぞれが異なる役割を担って私たちのデジタルライフを支えています。理解を深めることでテクノロジーの本質やその重要性を再認識できることから、より円滑で効果的なネットワークの活用が実現できるでしょう。

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