いまや情報化社会が浸透し、国内外問わずIT企業も続々と誕生しています。そんな中どんなIT企業でも、絶対に欠かせない最重要項目として「セキュリティ」を挙げています。
本記事で紹介するCertified Information Systems Security Professionalは、プロレベルのセキュリティスキルと知見を証明するための資格ですが、具体的にどんな試験でどんな難易度なのかわからない方は多いでしょう。今回はそんなCertified Information Systems Security Professionalの概要やメリット、合格のための学習方法などを詳しく解説します。
CISSPとは?
Certified Information Systems Security Professional(CISSP)は、情報セキュリティのスペシャリストを認定する国際的な資格です。
主に情報セキュリティの設計、実装、管理、監視に関する包括的な知識とスキルを持つことを証明できます。アメリカのNPO法人「国際情報システムセキュリティ認定コンソーシアム」によって運営されており、業界標準として広く認知されています。
Certified Information Systems Security Professionalはセキュリティとリスク管理、セキュリティエンジニアリングとアーキテクチャ、ネットワーク・通信に関するセキュリティなど計8つもの項目をカバーしています。数ある資格の中でもかなり長い6時間の制限時間が設けられ、250問の設問を解く形式となっているため、合格のためには広範な知識と実務経験が必要とされます。
なお、受験者数と合格率は非公開です。概要を一覧にまとめると、以下のようになります。
名称 | Certified Information Systems Security Professional (CISSP) |
問題数 | 250問 |
制限時間 | 6時間 |
出題範囲 |
|
受験者数 | 非公開 |
認定者数 |
|
合格率 | 非公開(推定約15~17%) |
費用 | $599(2024年7月現在) |
受験条件 |
※以下に該当する方は、1 年分の経験が免除される
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他の資格と比較しても受験条件が厳しいことも大きな特徴と言えますが、情報セキュリティ分野でのキャリアを真剣に考えているなら、Certified Information Systems Security Professionalは取得すべき資格と言えるでしょう。
なお以下の記事では、本記事で紹介しているCISSP同様、セキュリティに関する国家資格「情報セキュリティマネジメント試験」について詳しく解説しています。セキュリティ関連の職業に従事したい方は参考になるので、ぜひご一読ください。
CISSPの難易度
Certified Information Systems Security Professionalの試験は難易度が高いことで知られています。受験者数と合格率は公式では非公開となっていますが、IPAが運営する合格率約18%前後の資格「情報処理安全確保支援士試験」よりも難易度が少し高いとされているため推定では15~17%とされています。
情報セキュリティ分野の広範な知識と実務経験が要求され、内容はセキュリティとリスク管理、通信とネットワークセキュリティなど、6時間という長時間にわたって250問の質問に答える形式です。試験は選択肢形式ですが問題の難易度が高く、実務経験に基づいた深い理解が求められるので、十分な準備は欠かせません。
さらにCertified Information Systems Security Professionalを受験するためには、最低でも5年間の情報セキュリティ関連の職務経験が必要とされています。この経験要件もハードルを高める要因の一つです。
この背景から、徹底した学習計画と実務経験を地道に積み重ねることが、合格する鍵となります。
CISSPに合格するメリット
Certified Information Systems Security Professionalに合格するメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- IT業界に必須の知見が得られる
- 年収アップに大きく寄与する
- キャリアアップの用途にも最適
それぞれ見ていきましょう。
メリット①IT業界に必須の知見が得られる
Certified Information Systems Security Professionalに合格することのメリットの一つは、IT業界において必須となる知見を身につけることです。冒頭でも述べていますが、セキュリティはどんな形態のIT業界にとっても絶対に欠かすことのできない最重要項目だからです。
取得によって情報セキュリティの設計、実装、管理、および監視に関する深い理解を求められるため、取得者はいろんな企業のセキュリティ課題に対応できるスキルを持つことを証明できます。セキュリティのプロとしての信頼性と専門性が高まり、業界内での評価も向上するでしょう。
なお「IT業界に必須となる基礎知識を網羅した資格」であれば、IPAが運営している資格群である「情報処理技術者試験」もたいへん有効です。以下の記事でくわしく解説していますので、興味のある方はぜひお読みください。
メリット②年収アップに大きく寄与する
年収アップに大きく寄与することも、Certified Information Systems Security Professionalのメリットとして挙げられます。この資格は情報セキュリティの専門知識とスキルを証明できることから、企業にとって非常に価値のある人材ということをアピールできるためです。
Certified Information Systems Security Professionalを持つプロフェッショナルは、セキュリティ対策の戦略立案から実施、監視まで幅広く対応できるため、企業内での重要なポジションに就く機会が増えます。また他の候補者との差別化が図れることから、採用時や昇進時にも有利になります。
実際に企業がCertified Information Systems Security Professional保持者に対し、資格手当や昇給を提供するケースは少なくありません。さらにCertified Information Systems Security Professionalは国際的に認知されているため、グローバルな求人市場でも高い評価を受けられるでしょう。
メリット③キャリアアップの用途にも最適
Certified Information Systems Security Professionalを取得することで責任感のある仕事ができるようになり、良質な経験を積むことができます。高度な情報セキュリティ知識とスキルを要求するため、取得者は責任感のあるプロジェクトを通じてセキュリティ対策の実務経験を積み、よりスキルを磨けるでしょう。
そしてそのキャリアアップによる経験は国内外問わず転職市場でも大きなアドバンテージになるので、さらなるキャリアアップの実現も容易になります。
CISSPに合格するための勉強方法
Certified Information Systems Security Professionalに合格するための勉強方法を、以下のとおりご紹介します。
- 公式トレーニングを活用する
- テキストや問題集で独学する
- ITスクールやセミナーで学ぶ
勉強方法①公式トレーニングを活用する
Certified Information Systems Security Professionalに合格するためには、公式トレーニングを活用することが効果的です。ISC2は資格取得支援のため、CBKドメイン全体をレビューする「ISC2 公式 CBKトレーニング」を提供しています。
この唯一の公式トレーニングは日本国内のパートナーと提携しているため、日本人講師によって日本語で行われます。トレーニングはCBKに基づき、現場で活躍する資格保持者が講義を行っています。
日本の事例を交えた質の高い内容で受講者の経験と知識を深めると共に、ドメイン間の関連性も理解できる内容となっています。さらに公式トレーニングでは実践的な演習も含まれているため、理論だけでなく実務スキルも習得できるでしょう。
勉強方法②テキストや問題集で独学する
Certified Information Systems Security Professionalに合格するための効果的な勉強方法として、テキストや問題集を使った独学が挙げられます。公式テキストや認定された参考書を活用し、CBKドメイン全体の知識を体系的に学びましょう。
過去問題集や模擬試験を解くことで、出題傾向や問題形式に慣れることができます。また、自分のペースで学習を進められることが、独学の最大の利点と言えるでしょう。
勉強方法③ITスクールやセミナーで学ぶ
ITスクールやセミナーを活用することも、賢明な学習手段といえるでしょう。
AI研究所が運営する「AWSで始めるインフラ構築基礎セミナー」では、短期集中の2日間でインフラ構築の基礎を学べます。講義内容はAWSの基本からWebサーバー構築、アプリケーションの実装、運用スキルまで幅広くカバーしており、初心者にも最適です。
各種設定や実践的な演習を通じて実務ですぐに役立つ技術を習得でき、インフラ構築を通じてセキュリティの基礎も固められるので、気になる方はぜひ以下のリンクから詳細をご確認下さい。
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CISSPが意味ないと言われる理由は?
Certified Information Systems Security Professionalが「意味がない」と言われる理由にはいくつかの要因があります。
一つは、実務経験が不足していると実際の業務に役立たないことがあるからです。たとえばCertified Information Systems Security ProfessionalはITのベーススキルが身に付く資格とはいえ、最新のセキュリティ技術や脅威に対応できないこともゼロではありません。
また資格を持っているだけでは実際のスキルや能力が証明されないため、実務経験や他のスキルセットと組み合わせて評価されることが多いことも、意味ないと言われる理由です。
とはいえあるか無いかでいえばあるに越したことはなく、未経験の場合やる気のアピールにもつながるので、転職の可能性が大きく上がるのも事実です。
CISSPまとめ
Certified Information Systems Security Professional(CISSP)は、情報セキュリティ分野の中でもとくに高い権威性と誇る資格の一つです。主にセキュリティとリスク管理、資産の安全性、通信とネットワークセキュリティなど、8つの領域にわたる専門知識を評価します。
取得するには4年以上の実務経験、そして大学卒業学位取得者などさまざまな受験条件が必要とされるうえ、難易度も非常に高いですが、その分価値も高いです。Certified Information Systems Security Professionalを取得することでセキュリティの専門知識が証明され、キャリアの幅が広がり雇用市場での競争力も向上します。
また最新のセキュリティトレンドや技術に関する知識を維持するための継続的な教育も求められるため、常にスキルをアップデートし続けられます。情報セキュリティ分野でのキャリアを目指すプロにとって大変有益な資格なので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。