JDLA(日本ディープラーニング協会)が認定するAI資格の一つであるG検定。デジタル社会の加速とともに注目が集まっている人気の資格ですが、「G検定は取得する意味がない」「難易度が低い」といわれることも少なくありません。
実際のところ、G検定の難易度はどの程度なのでしょうか?難易度と一言でいっても明確に示せるものではないため、「難易度をイメージしにくい」という方も多いでしょう。
この記事では、G検定の難易度を多角的に検証するために、G検定の合格率や学習時間、類似資格との比較、さらには口コミから分析してみました。「G検定の難易度を具体的に知りたい」という方はぜひご一読ください。
G検定とは
G検定は、AI・ディープラーニングの活用リテラシーを測る検定試験です。JDLA(日本ディープラーニング協会)が主催し、2025年1月27日時点で累計144,707名の方が受験しています。
G検定の試験は、AIに関する基礎知識を幅広く問うもので、「AIで何ができて、何ができないのか」「どこにAIを活用すればよいか」「AIを活用するためには何が必要か」といった、AI活用の根幹となる項目に対する理解度を評価します。
G検定創設の背景
G検定創設の背景にあったのは、日本がAI分野で世界と対峙する際の危機感でした。2012年頃からディープラーニング技術が急速に進展し、様々な分野で大きな可能性を示す一方で、諸外国の取り組みも加速していたのです。
日本がグローバルな競争に打ち勝つためには、「ディープラーニング産業拡大」がカギを握っており、その実現には、AI技術を正しく理解し事業に活用できる人材、およびディープラーニング技術を担う人材の育成が必要でした。
そこで、一定の知識レベル・技術レベルの基準を設けることが重要と考えられ、G検定(ジェネラリスト検定)、およびE資格(エンジニア資格)が創設されたのです。
以下の記事は、G検定の試験概要や実施日、取得するメリットについて詳しく解説しています。G検定の理解を深めるためにも、ぜひご一読ください。
シラバスからG検定の難易度を検証
G検定の難易度を知るにあたり、やはりシラバス(試験範囲)を把握しておくことが重要です。
G検定のシラバスは、試験で問われる知識やスキルの範囲を明確に示しているため、シラバスを確認することで、どの分野を重点的に学習すべきか、どの程度の知識レベルが必要なのかが分かります。
G検定のシラバス
G検定の主なシラバスは以下にまとめたので、まずはこちらに目を通してみてください。
- 人工知能とは
- 人工知能をめぐる動向
- 機械学習の概要
- ディープラーニングの概要
- ディープラーニングの要素技術
- ディープラーニングの応用例
- AIの社会実装に向けて
- AIに必要な数理・統計知識
- AIに関する法律と契約
- AI倫理・AIガバナンス
シラバスから見る難易度は?
上記のように、G検定のシラバスには「機械学習の概要」「ディープラーニングの要素技術」「AI倫理・AIガバナンス」など、多岐にわたる分野が含まれています。
中でも、数学や統計の基礎知識は、専門性の高さゆえに苦戦する受験者も少なくありません。加えて、法律や倫理といった技術以外の分野も含まれるため、AIに関する幅広い理解が必要です。
G検定は出題範囲が広いため、相応の難易度があると推察されます。一方で、プログラミングなどの実装スキルが含まれていないことから、技術面における難易度は低いといえるでしょう。
合格率からG検定の難易度を検証
では、G検定の合格率から難易度を見ていきましょう。
G検定累計受験者数/累計合格者数推移
G検定を主催する日本ディープラーニング協会では、「G検定累計受験者数/累計合格者数推移」を公開しています。
ここでは、2023年から2025年にかけて実施されたG検定の受験者数、合格者数から合格率を算出し、難易度を考察してみましょう。
「G検定累計受験者数/累計合格者数推移」から読み取った情報は以下の通りです。
開催回 | 累計受験者数 | 累計合格者数 | 合格率 |
2025#1 | 140,074人 | 94,119人 | 約67.19% |
2024#4 | 128,307人 | 85,403人 | 約66.56% |
2024#2 | 121,123人 | 80,087人 | 約66.12% |
2023#5 | 112,305人 | 73,929人 | 約65.82% |
2023#3 | 103,666人 | 67,877人 | 約65.46% |
合格率から見る難易度は?
上記表から、G検定の合格率は、近年65〜67%台で推移していることが分かりました。
つまり、10人中およそ6、7人が合格していることから、難易度の評価は、極端に難しすぎず、かといって簡単すぎない適度なランクと推察されます。
ただし、65%程度の合格率ということは、準備不足での合格は難しく、計画的な学習が必要な試験とも考えられるでしょう。また、安定性の高い合格率の推移は、受験回ごとの難易度に極端な変動がないことも示唆しています。
以下の記事では、G検定の合格ラインや合格者・不合格者の違いについて詳しく解説しています。G検定の合格ラインも合わせて確認し、難易度の検証に役立ててください。
学習時間からG検定の難易度を検証
続いて、G検定取得までに要した学習時間から難易度を検証してみましょう。
G検定受験までの学習時間
ここでは、2024年第2回G検定の合格者を対象に、JDLAが実施したアンケート結果をもとに、受験時間に関する情報を紹介します。
G検定受験までの学習時間のグラフから読み取った情報は以下の通りです。
- 0~15時間:8.5%
- 15~30時間:23.7%
- 30~50時間:39%
- 50~70時間:15.3%
- 70~100時間:10.2%
- 100~150時間:2.5%
- 105~200時間:0.8%
- 200時間以上:0%
学習時間から見る難易度は?
このアンケートデータでは、最も多い学習時間は30~50時間、合格者の39%がこの時間帯であることが分かりました。これは、およそ1日2時間の学習を1ヶ月程度続けた場合に相当します。
また、23.7%の合格者は、15~30時間という比較的短い時間で合格していました。逆に、70時間以上を学習に費やした合格者は14%未満でした。
これらの結果から、G検定は計画的な学習があれば、無理なく取得できる資格であり、仕事や学業と両立しながらでも十分に挑戦できるレベルであることが分かります。
類似資格からG検定の難易度を検証
G検定の難易度を検証するために、類似資格との比較も行ってみましょう。
G検定の類似資格との比較表
ここでは、G検定と比較されることが多いITパスポート試験とデータサイエンティスト検定リテラシーレベルを比較してみたいと思います。
まずは、以下の比較表で、それぞれの合格率と学習時間を見てください。
資格名 | 合格率 | 平均合格率 | 学習時間の目安 |
G検定 | 65~67% | 66.23% | 30~50時間 |
ITパスポート試験 | 31.3~68.4% | 51.42% | 100~150時間 |
データサイエンティスト検定リテラシーレベル | 38~66% | 47.4% | 50~100時間 |
参照:ITパスポート試験 試験結果、DS検定®★過去の実施結果
類似資格から見る難易度は?
上記比較表から、G検定の難易度はITパスポート試験やデータサイエンティスト検定リテラシーレベルよりやや低めと推察できます。
G検定の学習時間は、30~50時間と他の資格と比較して最短で、かつ合格率はG検定が66.23%と最も高く、ITパスポート試験(51.42%)やデータサイエンティスト検定リテラシーレベル(47.4%)と続いていました。
ただし、ITパスポート試験の合格率は、高校生で31.3%、非IT系で68.4%と分布のばらつきが激しく、若年層の合格率の低さが影響を与えていることも見て取れます。
なお、G検定は合格者の受験者区分は出ていませんが、19歳以下の受験者が4.2%と非常に低いです。そのため、G検定の高い合格率は、主に社会人や大学生が受験している影響と考えられます。
口コミからG検定の難易度を検証
G検定の難易度を測る上で、実際の受験者の声は貴重な情報源です。ここでは、コンサルティング業界で働く30代男性Yさんの口コミから、G検定の難易度を考察します。
機械学習モデルの項目で難易度の高さを実感
Yさんは、DX案件に関わる中で機械学習の必要性を感じ、エンジニアとの共通言語を持つためにG検定を受験しました。AIに関する事前知識はほとんどなかったものの、約3ヶ月・30時間の学習で合格しています。
Yさんの学習方法は、公式テキスト、2冊の参考書(問題集含む)、模擬試験という王道的なものでした。苦労した点として、機械学習モデルの理解と高校数学の知識を挙げています。
Yさんの口コミから見るG検定の難易度
この事例から、G検定の難易度は適切な学習方法と努力次第で合格可能のレベルと分かります。Yさんの場合、AIに関する事前知識がほとんどなかったにもかかわらず、30時間程度の学習で合格を果たしました。これより、集中的に学習すれば短期間での合格も目指せる資格と推察されます。
ただし、機械学習モデルの理解や高校数学の知識に苦労した点から、これらの分野に苦手意識を持つ方は、難易度が高まる可能性があることも示唆しています。
G検定は難易度に合わせた対策がポイント
G検定は難易度に合わせた対策を行うことが重要です。
G検定は幅広い知識が必要
G検定は、AIの基礎から機械学習、ディープラーニング、さらにはAI倫理や法律など、非常に幅広い知識が求められます。先ほどお伝えした合格者データでは、学習時間は30から50時間が最も多く、口コミでは、独学での難易度の高さを実感した項目もあることが分かりました。
特に、機械学習モデルの仕組みや数学・統計の知識は、独力での習得には時間がかかりがちです。個々のスキルによって異なりますが、中には試験対策が長期化する方も見受けられます。
加えて、AI倫理や法律などの分野は専門的な解説がないと理解が難しく、結果、「暗記で終わってしまった」ということにもなりかねません。浅い知識では真の実力につながらず、実践で活かすことが難しいといえるでしょう。
短期で合格を目指すならセミナーがおすすめ
そこで、効率よく合格を目指したい方におすすめなのが、体系的に学べるセミナー学習です。
ProSkilllのJDLA認定 G検定対策講座なら、短期で試験範囲を網羅し、AIの基礎から応用までを段階的に学び進めていけます。さらに、会場受講・ライブウェビナー・eラーニングの3形式から選べるため、「ライフスタイルに合わせて学習したい」という方にも最適です。
G検定の難易度を踏まえ、最短ルートで合格を目指す方は、プロの指導を活用するのがベストな選択といえるでしょう。
G検定の難易度についてまとめ
この記事では、G検定の難易度をシラバス、合格率、学習時間、類似資格との比較、口コミの5点から多角的に検証してみました。
今回の調査で見えてきたG検定の難易度は、広範な知識が必要なので中級レベルは求められること、しかし、専門性が高い分野は少ないため、極端に難しい資格ではないということです。
平均学習時間は30~50時間なので、比較的取り組みやすい資格であることも分かりました。
短期間での合格を目指す場合は、体系的なカリキュラムと専門家のサポートを受けられるProSkilllのJDLA認定 G検定対策講座をぜひご検討ください。