市場拡大を続けるIT業界において欠かせない技術がAWS(Amazon Web Services)です。とくにクラウドコンピューティング分野では国内のみならず世界的な人気を誇ります。
そんなAWSには「AWS認定資格試験」という専門資格が存在するものの、どのような試験でどんなメリットや学習方法があるのか、あまり知られていないのが現状です。本記事ではAWS認定資格試験の概要や種類、勉強法など、AWSの認定資格取得を目指す方にとって必読の情報をお届けします。
- 1. AWS認定資格試験の概要
- 2. AWS認定資格試験のレベル別の種類
- 2.1. AWS認定資格①Cloud Practitioner(クラウドプラクティショナー)
- 2.2. AWS認定資格②SysOps Administrator(シスオプス アドミニストレーター)
- 2.3. AWS認定資格③Developer(デベロッパー)
- 2.4. AWS認定資格④Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)
- 2.5. AWS認定資格⑤Data Engineer(データエンジニア)
- 2.6. AWS認定資格⑥Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)
- 2.7. AWS認定資格⑦DevOps Engineer(デブオプス エンジニア)
- 2.8. AWS認定資格⑧Advanced Networking(アドバンスドネットワーキング)
- 2.9. AWS認定資格⑨Security(セキュリティ)
- 2.10. AWS認定資格⑩Machine Learning(マシンラーニング)
- 3. AWS認定資格試験に合格するメリット
- 4. AWS認定資格試験のデメリット・注意点
- 5. AWS認定資格試験に合格するための学習方法
- 6. AWS認定資格試験に関するよくある質問
- 7. AWS認定資格試験まとめ
AWS認定資格試験の概要
AWS認定資格試験は、Amazonが運営するクラウド技術や知識を証明する資格です。4つの難易度と10種類の資格に分類されているため、目的や用途、またレベルに沿った最適な資格に挑戦することが可能となっています。
AWSは国内に限らず世界的に需要のあるクラウドサービスなので、取得によって大きな人材価値の向上が期待できるでしょう。
なお、本記事で紹介しているAWS認定資格試験と類似したものとして「Microsoft認定試験DP-100」というものが存在します。以下の記事で詳しく紹介していますので、興味のある方はご一読ください。
AWS認定資格試験のレベル別の種類
AWS認定資格試験の種類10個を、レベル別に紹介します。
レベル区分 | 名称 | 読み方 | 対象 |
FOUNDATIONAL | Cloud Practitioner | クラウドプラクティショナー | これから新たにAWSを学ぶ初心者 |
ASSOCIATE | SysOps Administrator | シスオプス アドミニストレーター | AWSの運用・保守を行う方ないしは行う予定の方 |
ASSOCIATE | Developer | デベロッパー | アプリケーションの開発やデプロイないしはデバッグ担当者 |
ASSOCIATE | Solutions Architect (Associate) |
ソリューションアーキテクト (アソシエイト) |
AWSでのシステム設計中級者 |
ASSOCIATE | Data Engineer | データエンジニア | AWSにてデータ設計や管理を行う方 |
PROFESSIONAL | Solutions Architect (Professional) |
ソリューションアーキテクト (プロフェッショナル) |
高度なシステム設計技術を養いたい方 |
PROFESSIONAL | DevOps Engineer | デブオプス エンジニア | AWSアプリの運用やデプロイ作業自動化を担う方 |
SPECIALTY | Advanced Networking | アドバンスドネットワーキング | 約5年程度のネットワーク実務経験をもつ方 |
SPECIALTY | Security | セキュリティ | より高度なセキュリティ技術を身に着けたい現役エンジニア |
SPECIALTY | Machine Learning | マシンラーニング | 機械学習の高度な知識を身に着けたい方 |
AWS認定資格①Cloud Practitioner(クラウドプラクティショナー)
AWS認定資格試験の10種類の中で、もっとも難易度の低い資格です。
主にクラウドサービスの基礎概念やサービス内容が問われる内容となっており、IT業界未経験、かつこれからクラウド技術を学習する方にぴったりです。
AWS認定資格②SysOps Administrator(シスオプス アドミニストレーター)
中級レベル「ASSOCIATE」のひとつが、このSysOps Administratorです。主に管理やセキュリティ、データ設計などの分野からの出題となります。
開発よりも、これから保守・運用に従事する方におすすめの試験です。
AWS認定資格③Developer(デベロッパー)
こちらのDeveloper試験は、主にアプリケーション開発やデプロイ、デバッグなどを担当するエンジニアを対象としたものです。
クラウド環境における開発やコード記法、テスト・デバッグ手法についても出題がメインとなっています。
AWS認定資格④Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)
システム設計中級者を対象に組まれているのが、こちらのSolutions Architect試験です。
より安全なシステム設計を行う技術者としてのノウハウが求められるもので、現場さながらの技術や経験が必要となる内容となっています。
AWS認定資格⑤Data Engineer(データエンジニア)
データの取り扱いに特化した、いわゆる「データエンジニア」を対象にしているのが、こちらのData Engineer試験です。
データモデル設計、管理、取り込みや変換、実装など、データに関する幅広いノウハウが必要となります。
AWS認定資格⑥Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)
こちらSolutions Architect試験はASSOCIATE(中級)にもありますが、こちらは「PROFESSIONAL版」となっています。システム設計をはじめ、デプロイやコスト管理などその他の幅広い周辺知識が出題される内容となっており、レベルは上級者向けです。
ASSOCIATE以上の、より高度なシステム設計技術を養いたい方におすすめの内容です。
AWS認定資格⑦DevOps Engineer(デブオプス エンジニア)
DevOps Engineer試験はOS管理や開発・運用などの各種法などの知識を幅広く問われる内容となっています。
数あるAWS認定資格試験の中でも、実務経験や現場さながらの技術力が求められる難解な試験のひとつとして知られています。
AWS認定資格⑧Advanced Networking(アドバンスドネットワーキング)
Advanced Networking試験は、AWS認定資格試験の中でも、最高難易度レベルの「SPECIALTY」に分類される資格のひとつです。そもそものIT分野の中でも難解な「ネットワーク」分野に特化した内容で、接続オプションや最適化の技術が問われます。
主に約5年程度のネットワーク実務経験をもつ技術者が対象です。
AWS認定資格⑨Security(セキュリティ)
レベル分類の中でももっとも難しい「SPECIALTY」のひとつに、Security試験があります。その名のとおりセキュリティに関する内容がメインで、暗号化技術やプロトコル実装など、実務に基づいた難解なセキュリティ知識が求められます。
セキュリティはすべてのIT業界にとって必須かつ最重要項目であるため、取得によって市場価値の大きな向上が狙えるでしょう。
AWS認定資格⑩Machine Learning(マシンラーニング)
その名のとおり、機械学習についての専門的な知識が求められるのが、こちらのMachine Learning試験です。
主にAWSクラウド環境における機械学習モデル設計・開発、アルゴリズムやパラメータの最適化などの知識が問われます。
AWS認定資格試験に合格するメリット
AWS認定資格試験に合格するメリットは、大きく以下のとおりです。
- AWSの知識を網羅的に学べる
- 幅広いIT業界への転職に強くなる
- ビジネスにおける選択肢が広がる
それぞれ解説します。
メリット①AWSの知識を網羅的に学べる
AWS認定資格試験は、AWSに関する幅広い知識を網羅的に学ぶことができます。たとえばクラウドコンピューティングの基本概念からAWSの各種サービス、セキュリティやアーキテクチャ設計、運用管理などです。
総合的な理解を深めるのにうってつけの試験なので、これからAWSにふれる方にもおすすめです。
メリット②幅広いIT業界への転職に強くなる
合格することで、幅広いIT業界への転職に有利になります。理由は主に「AWSを使っている企業は世界的に多い」ことと「クラウド系の人材の不足」が挙げられます。
AWSはクラウドコンピューティング市場でもとくに知名度と需要が大きく、資格は高い専門性と実践的なスキルとして重宝します。また現代は深刻なIT人材不足となっており、クラウドに関しても例外ではありません。
転職活動において、強力な武器となることは間違いないでしょう。
メリット③ビジネスにおける選択肢が広がる
合格することで、ビジネスにおける選択肢が広がるでしょう。
たとえばクラウド系の企業への転職成功率が上がったり、クラウドエンジニアとしてフリーランスとして独立するという選択肢もあります。またAWSは海外でのシェアもあるので、海外就職を実現できる可能性も大きくアップするでしょう。
なお以下の記事ではAWS認定資格試験に関するキャリアパスについて詳しく言及しています。AWSのメリットについて深堀りしたい方はぜひ参考にしてください。
AWS認定資格試験のデメリット・注意点
AWS認定資格試験にはデメリットもあります。以下のとおりご紹介します。
- 受験費用が比較的高額
- 3年に一度更新しなければならない
デメリット①受験費用が比較的高額
AWSの受験費用は比較的高額です。
たとえばIT資格の代表格「基本情報技術者試験」は7,500円なのに対し、もっとも簡単なAWS資格「クラウドプラクティショナー」で約15,000円です(2024年6月現在)。
難しいレベルとなれば40,000円を超えるものもあるうえ、費用は基本的にドルで設定されていることから変動もあるため、人によってはネックと感じることは避けられません。
デメリット②3年に一度更新しなければならない
AWS認定資格試験はモダンなIT技術を証明する資格であるため、3年に一度更新を行わなければなりません。
さらに更新は「再試験」なので、初めての試験と同じ条件で合格する必要があります。
一時的な取得よりも、維持し続けることのほうが大変かもしれません。
AWS認定資格試験に合格するための学習方法
AWS認定資格試験に合格するための学習方法は主に以下です。
- テキストや過去問題集で独学する
- 実際にAWSを動かして学ぶ
- ITセミナーやスクールを活用する
それぞれ見ていきましょう。
学習方法①テキストや過去問題集で独学する
テキストでのインプット、過去問題集でのアウトプットを反復することが、もっとも現実的かつ効率的な独学の方法といえるでしょう。
AWSは知名度の高いクラウドサービスであることから、試験に関するテキストや過去問題集はたくさん存在します。自身の知識レベルに合わせたものを選びましょう。
学習方法②実際にAWSを動かして学ぶ
「百聞は一見にしかず」という言葉のとおり、やはり座学よりも実践は大きな効果があります。
実際に触れなければわからない知識もたくさんあるので、ハンズオンで学習するのはたいへん有効な手段です。
学習方法③ITセミナーやスクールを活用する
独学が難しければ、ITセミナーやスクールを活用するのもひとつの手段です。「教えてくれる人」の存在は、学習効率を飛躍的に伸ばしてくれます。
たとえばAI研究所の「AWSで始めるインフラ構築基礎セミナー」では、AWSの基礎から初期設定、インフラやネットワーク、サーバー構築を一貫して実際に触りながら学べるので、AWS認定資格試験の学習がよりスムーズになるでしょう。
また2日間の短期集中セミナーなので、学習に時間をかけられない方にもおすすめです。
AWSで始めるインフラ構築基礎セミナーのスケジュール/お申し込みはこちら
AWS認定資格試験に関するよくある質問
AWS認定資格試験に関するよくある質問をご紹介します。
AWSのSAAは国家資格?
AWSのソリューションアーキテクト・アソシエイト試験は、国家資格ではありません。
とはいえAWSの資格であることから、世界的な評価を受けられる資格といえます。
AWS認定試験は何割取れば合格ですか?
合格条件はレベルによって異なります。具体的には、以下のとおりです。
- FOUNDATIONAL…1000点中700点以上
- ASSOCIATE…1000点中720点以上
- PROFESSIONAL…1000点中750点以上
- SPECIALTY…1000点中750点以上
AWS認定資格試験まとめ
以上、AWS認定資格試験の概要や種類、学習法について解説してきました。AWS認定資格試験はクラウドコンピューティングのスキルと知識を証明する試験であり、学習法としては過去問題を用いたアウトプット、ないしは実際にAWSに触れつつハンズオンで学ぶのがもっとも効率的です。
取得することでクラウド関連の知識が体系的に身についたり、キャリアアップや転職時のアピールポイントになったり、ビジネスでの選択肢も増えるといったメリットがあります。とはいえ試験内容の難易度は決して低くはなく、実務に基づく知識が求められるケースも多いので、試験対策には十分な時間と努力は必要です。
AWS認定資格試験にはたくさんの種類があるので、ぜひ自身のレベルと目的に合ったものを選び、挑戦してみてはいかがでしょうか。