生成AIの代名詞ともいえるChatGPTは、文章作成・表・コード生成など、さまざまな用途で使用でき、ビジネスだけでなく日常生活でも活用することができるのが魅力でしょう。ChatGPTに興味があるものの、具体的な使い方が分からない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ChatGPTがどんなツールなのかや、有料版・無料版の違い、ChatGPTでできることやできないことについて解説します。また、指示(プロンプト)のコツについても解説していますので、使い方を理解するための参考にしてみてください。
ChatGPTとは?
ChatGPTは、OpenAI社が開発した対話型AIサービスです。膨大なデータを学習することにより、ユーザーの質問や指示に対し、人間のような自然な対話で回答を提供するツールです。
数ある生成AIの中でも、ChatGPTが注目される理由はその汎用性の高さにあります。文章作成や要約を始め、プログラミングコードの生成、表の作成などさまざまなタスクをこなせるからです。また、複数の言語にも対応しており、外国語を翻訳しながら引用する、といった使い方も可能です。
ビジネスはもちろん、日常生活のあらゆる場面でも活用できるツールといえるでしょう。
ChatGPTを開発したOpenAI社については、以下に記事で詳しく解説しています。
ChatGPTの料金プラン
各料金プランの金額を表にまとめました。2025年1月から10%の消費税が加算されるようになったため、注意してください。
料金プラン | 料金 |
フリープラン(無料版) | 無料 |
ChatGPT Plus | $20/月 |
ChatGPT Pro | $200/月 |
Team プラン |
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ChatGPTの有料版と無料版の違い
ChatGPTの有料版と無料版の違いについて、以下の表にまとめました。有料版に比べ、無料版はできることの範囲が限定的で、回答の精度・量に関しても性能が抑えられているため注意が必要です。
項目 | 概要 |
利用可能モデル |
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応答速度 |
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画像の読み込み・画像生成 |
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Web検索 |
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Advanced Data Analysis機能(データ・コード解析ができる機能) |
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プラグイン・GPTs(カスタムGPT)機能 |
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新機能へ早期アクセス |
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有料版・無料版の使える回数
ChatGPTの有料版・無料版には利用回数に制限が設けられています。具体的には以下になります。
- 有料版:1分間の質問回数は600回、1日の質問上限は100,000回
- 無料版:1分間の質問回数は60回、1日の質問上限は4,000回
特に無料版は利用回数の制限がかかりやすいため注意しましょう。具体的には、無料版はGPT-4oは5時間に10回ほど利用でき、利用制限を超えてしまうとGPT-4o miniに自動的に切り替わります。制限に達した場合、そこから3~5時間経過すると制限がリセットされる仕組みになっています。
ChatGPTを思い通り操るプロンプト入力6つのコツ
ChatGPTなど、生成AIを上手に活用するために重要なのが指示(プロンプト)です。入力した指示によってChatGPTからの回答の質が変わるため、使い方を理解する上で押さえておきたい部分です。ここでは、指示(プロンプト)のコツについてお伝えします。
指示は明確に入力する
ChatGPTを利用する際は、指示は明確に入力しましょう。曖昧な指示だと期待通りの結果が得られなかったり、誤った情報を出力する場合があるからです。
以下のようにプロンプト入力すると、求めている趣旨の回答を得やすくなります。
- 「天気について教えて」→「東京の今日の午後の天気は?」のように、具体的な場所・日時を指定する
- 「400文字で小学生にも伝わる文章で書き出して」など、具体的な数字・対象を指定する
コツとしては、指示に具体性を持たせることです。広くあてはまる表現はやめ、ピンポイントで質問する意識で指示するとよいでしょう。
指示の効果的なやり方については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考・参照情報を提供する
指示に参考・参照情報を含めることも、質の高い回答を得るコツです。ChatGPTは与えられた情報に基づいて回答を生成しますが、情報が不十分な場合、期待する回答が得られないことがあるためです。以下のような情報を含めると、質の高い回答を得やすくなります。
- データや統計
- 具体的な事例
- 書籍や論文
- 専門知識
役割を与える
役割を与える方法も、ChatGPTから質の高い回答を得やすくなります。例えば「あなたはプロのライターです」と指示した上で文章作成を指示すれば、本物のライターに近い質の良い文章を作成しやすくなるなどです。ChatGPTに与える役割には、以下のような種類があります。
ジャンル | 役割 |
ビジネス |
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教育 |
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クリエイティブ |
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テクノロジー |
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ライフスタイル |
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研究 |
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条件をつける
条件をつけて質問すると、ChatGPTからの回答が質が高まりやすくなります。以下のような条件づけを指示に含めると、ChatGPTのより有効な使い方につながるでしょう。
条件 | 概要 |
形式の指定 |
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内容の指定 |
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視点・立場の指定 |
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優先順位の指定 |
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追加情報を指定 |
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出力形式の指定 |
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質問を繰り返す
質問を繰り返す方法も、ChatGPTから質の高い回答を引き出すためのテクニックです。コツとしては、同じ内容を少しだけ角度を変えて質問するやり方です。
例えば「おすすめの泣ける映画は?」と聞いた後に、「泣ける映画の中で海辺が舞台の作品は?」と掘り下げて質問すると、目的の回答を得やすくなります。さらに「その映画の見どころは?」といった関連質問をすると、回答が洗練されていきます。
質問を繰り返す中で、重要なキーワードを意識的に含めていきましょう。
ChatGPTへの適切な質問を学びたい方は、以下のセミナー受講をおすすめします。短期間で生成AIの基礎から応用操作まで学べ、未経験の方でも実践で使えるスキルを習得できる体系的なカリキュラムです。
受講形式もご自身にあったスタイルが選べ、価格がリーズナブルな点も魅力的。ChatGPTを思い通りに操るプロンプトを身につけたいけど、どのセミナーで学べばいいかわからない方はぜひ参加してみてください。
画像認識・音声認識を活用する
画像認識・音声認識機能の活用も、ChatGPTの回答の質を高める上で有効です。
画像認識機能では、グラフ分析や言語の翻訳、デザインへのフィードバックなど、文章入力では伝えにくい視覚情報をChatGPTに伝えることができます。
また、音声認識機能を活用すると、文章作成が苦手な方でも質問をしやすくなります。他にも、議事録作成や文字起こしといった、特定の作業の手間を軽減できる点も魅力でしょう。
ChatGPTができること
ここからは、ChatGPTでできることについて見ていきましょう。物理的なサポートはできませんが、テキストの出力や思考のサポートにおいては、さまざまな活用法があります。
文章作成
文章作成は、ChatGPTでできることの基本ともいえる活用法です。どんな文章にしたいか指示を入力し、必要に応じて検索した情報をコピー&ペーストすることで、目的に合わせた文章を作成してもらえます。作成できる文章は以下のようなものがあります。
- ブログ
- SNS用の文章
- Web記事
- 企画書や提案書
- 議事録
- キャッチコピー(セールスコピー)
- 契約書等の初稿
ChatGPTが生成した文章は下書きとして捉え、編集を加えるのが使い方のポイントです。ChatGPTの回答をそのまま使うのではなく、人間らしさを加えることで文章の質が向上します。また、事実関係の確認は必須ですので注意しましょう。
文章の要約
文章の要約も、ChatGPTでできることの1つです。長文を簡潔にしたり、要点だけを抽出する、といった使い方があります。要約できる文章は主に以下のようなものがあります。
- Web記事
- 論文
- ニュース記事
- ビジネスのレポート
- 会話などの記録
- 書籍
- 教育コンテンツ
文章の翻訳
ChatGPTは多言語に対応しているため、文章の翻訳も得意としています。使い方はシンプルで、「この〇〇語を日本語に翻訳してください」と指示し、必要な情報メモをペーストするだけで翻訳してくれます。
ChatGPTは文脈を理解した翻訳が可能なため、単語を置き換えるだけでなく、文章全体の意味を考慮した翻訳を生成できる点も魅力でしょう。
アイデア出し
ビジネスやクリエイティブ作業でのアイデア出しも、ChatGPTでできることの1つです。ChatGPTは膨大なデータを学習しているため、短時間に複数のアイデア出しが行える点が良い部分でしょう。アイデア出しの種類には、以下のようなものがあります。
- 新規事業のコンセプト、商品企画など
- スピーチ原稿、ストーリー作成など
- 教育のアプローチ方法、教材のアイデアなど
ただし、ChatGPTが提案するのはあくまで参考材料です。最終的な判断や検証は人間が行うようにしましょう。
情報収集(リサーチ)
情報収集(リサーチ)も、ChatGPTの有効な使い方です。ChatGPTは膨大なデータを学習しているため、ストックされている情報の中から、質問に応じた回答を出力してくれます。
ただし、ChatGPTが出力する情報は最新のものとは限りません。また、後述するハルシネーションと呼ばれる作り話を出力する場合もあるため、あくまで情報収集(リサーチ)の参考程度に留めておき、必ず他の情報ソースを調べるようにしましょう。
メール文章の作成
メール文章の作成も、ChatGPTの有効な使い方です。ビジネスはもちろん、個人間のメールのやり取りにも使えるため、メールを使ったコミュニケーションを効率化できます。出力された文章に手を加え、より自然なメール文にするとよいでしょう。
企画書の作成
企画書の作成も、ビジネスでのChatGPTの活用法の1つです。企画書の構成案、各項目の文章、図表(グラフ)の作成といったサポートをしてもらえ、企画書の作成を大幅に時短できます。
プレゼン資料ひな形の作成
プレゼン資料のひな型の作成も、ChatGPTなら簡単にできます。テーマと目的を入力し、その後アウトラインの作成を指示するだけでひな形を生成してもらえます。スライドごとの内容も、それぞれ具体的に指示すれば、質の高いプレゼン資料のひな形を作成できるでしょう。
表の作成(関数含める)
表の作成(関数含める)も、ChatGPTが得意としている領域です。「〇〇と〇〇と〇〇について表にしてください」と指示するだけで、整形された表を生成してもらえます。
また、合計や平均値といった関数を含めた表の生成も可能です。例えば、「〇〇と〇〇の合計を計算してください」といったプロンプトを表作成の指示に加えるだけで、ChatPTが計算しながら表に反映してくれます。
プログラミングのサポート
プログラミングのサポートも、ChatGPTができる作業です。使い方としては、PythonやJavaScriptなどのコードを自動生成してもらったり、さらにエラーが発生した場合のデバッグ支援も行ってもらえます。
使用言語や技術スタックなどの前提条件を伝えると、より質の高い回答が得られるでしょう。ただし、生成されたコードは必ずしも最適ではないため、ユーザー側で修正を加えることも必要です。
クリエイティブ活動のサポート
ChatGPTは、クリエイティブ活動のサポートにも活用できます。主にできることは以下のようなものです。
- ストーリーやプロット作成
- 詩や歌詞の作成
- コンセプトやデザインの提案
小説、漫画、映画はもちろん、ゲーム開発や建築、音楽やアートなど、幅広い分野におけるクリエイティブ活動に活かせます。
炎上のリスクマネジメント
炎上のリスクマネジメントも、ChatGPTの使い方として有効です。現代は個人・企業問わずSNSを利用するようになりましたが、炎上による損害や他方に迷惑をかけてしまう状況は避けたいものです。ChatGPTは、文章の炎上リスクについて複数の視点から検証できるため、SNSに投稿する前のチェック機能として活用できます。
日常生活のサポート
日常生活のサポートも、ChatGPTが得意としている領域です。具体的には、以下のようなサポートが可能です。
- 料理のレシピの提案
- 趣味に合う映画や書籍の提案
- スケジュール管理
- 家計の管理
- 健康管理
- 旅行などの計画
- ペットの世話の提案
上記は一例であり、他にもさまざまな提案が可能です。ChatGPTを上手に活用すれば、日常生活を快適に過ごせるようになるでしょう。
ChatGPTができないこと
できることがある一方、ChatGPTにも苦手なこともあります。使用上の注意点でもありますので、使い方として覚えておくようにしましょう。
最新情報を扱うこと
ChatGPTは、さまざまなタスクを高精度でこなせるツールですが、最新情報の取り扱いには限界があります。その理由は、情報データに時間的な制約があるためです。それぞれのモデルの情報データの時期は以下になります。
モデル | 時期 |
GPT-4o mini | 2023年10月までの情報データを学習 |
GPT-4 | 2023年10月までの情報データを学習 |
GPT-4 Turbo |
2023年4月までの情報データを学習 |
GPT-4o | 2024年6月までの情報データを学習 |
GPT-4.5 | 2025年3月時点で情報データの学習は未発表 |
ChatGPT Plusに加入してWebPilotなどのプラグインやWebChatGPTのような拡張機能を利用すれば、インターネットから最新データを取得できるようになります。
専門的な情報を扱うこと
ChatGPTは、法律や医学といった専門分野での高度な知識は持ち合わせておらず、間違った回答を生成するケースがあります。また、情報データの学習が更新時点で止まっており、最新の研究などを反映しないケースも多々あるため、出力された回答を鵜呑みすることはできません。
ChatGPTで専門的な情報を扱う際は、信頼できる情報ソースで事実関係を確認したり、専門家による助言やチェックを行うなどの対処が不可欠です。専門的な情報を扱う際は、特に使い方に注意しましょう。
URLを参照すること
ChatGPTは、入力されたURLからサイトに飛び、Webページを参照することはできません。この制限がある理由は、プライバシーの保護とセキュリティ対策のためです。URLには個人情報や機密データが含まれている場合があるほか、著作権で保護されたコンテンツへの無断アクセスを防ぐ目的もあります。
URL先にあるWebページの内容を引用したい場合は、WebPilotなどのプラグインを利用するか、直接コピー&ペーストしてChatGPTに必要情報を提供するようにしましょう。
長文の書き出し・理解すること
長文の書き出し・理解も、ChatGPTが苦手としている領域です。ChatGPTは1回の質問で処理できるトークン(文字数)に上限があるため、長文の生成や理解が途中で途切れてしまう場合があります。各モデルのトークンと、処理できる日本語の文字数の目安は以下です。
モデル | トークンと日本語文字数の概要 |
GPT-4o mini |
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GPT-4 |
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GPT-4 Turbo |
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GPT-4o |
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GPT-4.5 |
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上記はあくまでも目安であり、内容が複雑になると出力された文章の文法がおかしくなったり、内容を理解できなくなる場合があります。そうした問題に対処するには、書き出し・入力する文章を分割する方法が有効です。
アナログにしかない情報を扱うこと
ChatGPTはインターネット上の情報は扱えますが、アナログにしか存在しない情報は扱えません。例えば以下のような情報です。
- 紙の書類や手書きのメモ
- 個人の体験
- 人間の感情
上記のような情報についてChatGPTに質問しても回答は得られませんので注意しましょう。
ハルシネーションが起きること
ハルシネーションとは、生成AIが事実ではない情報を事実のように生成してしまう現象を指します。主な原因は、学習した情報データの不足や偏りから間違った情報データを組み合わせて推論し、回答を創作してしまうためです。
対策としては、具体的な指示となるようプロンプトを工夫したり、複数の情報ソースで回答の信憑性をチェックするようにしましょう。特に仕事で使用する場合は、ChatGPTの回答を鵜呑みにせず、必ず事実確認を行う必要があります。
ChatGPTのブラウザ版・スマホアプリ版の違い
ChatGPTは現在、ブラウザ版とアプリ版の2つの方法でアクセスできます。
ChatGPTのブラウザ版は、OpenAIの公式サイトにアクセスし、画面下部の入力欄に質問を入力するだけで利用できます。会員登録なしでも利用できますが、メールアドレスかGoogle、Microsoftアカウントで会員登録すると過去の履歴が保存されるため、仕事などで利用する場合は会員登録する方がおすすめです。
ChatGPTのスマホアプリ版は、App StoreやGoogle Playから公式アプリをダウンロードし、アプリを開けば利用できます。ブラウザ版と同じく、会員登録すると過去の履歴が保存される仕組みです。ChatGPTを手軽に体験したい方は、まずはスマホアプリ版からの始めるのがおすすめです。
ChatGPT使い方まとめ
ChatGPTは、有料版と無料版があり、無料版からでもビジネスや日常生活のサポートに活用できます。PCだけでなく、タブレット・スマートフォンにも対応しているため、外出先で利用できる点も魅力でしょう。
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