人工知能は人間に近い知識をもったコンピューターで、さまざまな情報を自身で学習する能力を持っています。人工知能を使えば、企業の作業効率化に繋がり、人々の生活を豊かにしてくれます。
本記事では、人工知能の種類や活用方法などを詳しく簡単に解説していきます。人工知能についての知識を簡単に入手したいと考えている人はぜひ参考にしてください。
人工知能とは簡単にいうと何?
人工知能とは人間の言葉を理解し、自身で考えて行動するコンピューターのことです。英語でArtificial Intelligence、略してAIと呼ばれており、1950年頃から作られ始めました。
- 人工知能の定義
- 人工知能とAIの違いは簡単
上記内容について詳しく簡単に解説します。
人工知能の定義
1950年代に人工知能という言葉を作り出した科学者ジョン・マッカーシー氏は、「知識のある機械に知的なプログラムを取り入れた技術」と説明しています。しかし、人工知能について研究をしている人たちからはさまざまな解釈があるため、現在も人工知能とはどのような定義なのか確定はしていません。
人工知能の定義が確定しないのは「知能」や「知性」をもとに作られているからです。知能や知性は人によってさまざまなので、解釈が異なります。定義がない以上、人工知能とはどのようなものなのかを簡単に説明することができないのが現状です。
人工知能とはどのような定義なのかを発表している研究者を簡単にまとめました。
研究者の名前 | 所属名 | 定義 |
松尾豊氏 | 東京大学 |
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池上高志氏 | 東京大学 |
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堀浩一氏 | 東京大学 |
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西田豊明氏 | 京都大学 |
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長尾真氏 | 京都大学 |
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浅田稔氏 | 大阪大学 |
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山口高平氏 | 慶応義塾大学 |
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栗原聡氏 | 電気通信大学 |
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溝口理一郎氏 | 北陸先端科学技術大学院 |
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松原仁氏 | 公立はこだて未来大学 |
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中島秀之氏 | 公立はこだて未来大学 |
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武田英明氏 | 国立情報学研究所 | 中島秀之氏と同じ定義 |
山川宏氏 | ドワンゴ人工知能研究所 |
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人工とAIの違いは簡単
人工知能とAIの違いは簡単で、人工知能を英語に訳したものがAIです。人工知能とAIは同じですが、ツールやメディアによって呼び方が変わります。サービスや製品、開発企業などでは「AI」と呼ばれることが多く、一方で研究、技術では「人工知能」という言葉が使われます。
人工知能の歴史
人工知能の歴史について簡単に解説します。
- 第1次人工知能ブーム
- 第2次人工知能ブーム
- 第3次人工知能ブーム
第1次人工知能ブーム
人工知能という言葉は1950年~1960年代のアメリカで初めて使われました。コンピューターを使って人工知能の研究や開発を行い、大きなブームを巻き起こしました。人工の知能(探索や推論)を使用したチェス、オセロなどのゲームも、この時代に生まれています。また、1964年には、AIと簡単に話ができるチャットボット「ELIZA」も誕生しています。
第2次人工知能ブーム
第2次人工知能ブームは、コンピューターの使用が多くなってきた1980年~1990年代に起こりました。ある特定の知識を取り入れた人工知能が、自身の言葉に直して発表する「エキスパートシステム」が生まれました。エキスパートシステムは株価予測や病気診断など幅広い分野で活用されています。
ただし、エキスパートシステムの精度を高めるためには、人工知能に大量の知識(データ)を読み込ませる必要があります。言葉にしにくい知識や例外的な処理、ルールの対応が難しいことから、徐々に人工知能に対しての勢いがなくなりました。
第3次人工知能ブーム
第3次人工知能ブームは、コンピューターの性能が大幅に上昇した2000年代に起こり、現在も続いています。「機械学習」の登場により再び人工知能ブームを巻き起こしました。機械学習とは、コンピューターが大量のデータを参考にし、自身でさまざまなパターンやルールを簡単に発見、学習するシステムです。
機械学習が誕生したあと、2006年には「深層学習(ディープラーニング)」と呼ばれるシステムも誕生しました。深層学習は機械学習よりもさらに繊細な判断をしてくれるようになり、医療やビジネスなどさまざまな分野で使われています。
そして、最先端の機能として注目を集めているのが生成系人工知能(ジェネレーティブAI)です。人間同士で話すような感覚で文章を簡単に作ってくれる人工知能(ChatGPT)や、テキスト入力だけで簡単に画像データを出力してくれる人工知能(Midjourney)などが話題になっています。法的、倫理的なリスクが懸念されていますが、人々の暮らしにとって欠かせない存在になりつつあります。
人工知能の種類
人工知能の種類は大きく分けて3つあります。
- 汎用型人工知能
- 特化型人工知能
- 人工超知能
上記内容を1つずつ見ていきましょう。
汎用型人工知能
汎用型人工知能とは人と同じような知識をもち、行動ができる人工知能です。コンピュータープログラムに存在しないデータでも自身で学習し、簡単に解決する能力があるため、別名「強いAI」とも呼ばれています。近年話題になっている人工知能「ChatGPT」は汎用型人工知能に近いといわれています。
特化型人工知能
特化型人工知能は名前の通り、特定の分野に特化した人工知能です。1つのことだけに特化したAIなので別名「弱いAI」とも呼ばれています。
- 自動運転
- 医療の診断
- 不良品の検知
- 簡単自動掃除ロボット
- けん玉ロボット
- 将棋ロボット
上記のほかにも、音声認識機能、天気予報、画像の認識、株価の予測、翻訳機能など、ビジネスや日常生活で使われているものほとんどが特化型人工知能です。
人工超知能
人工超知能とは名前の通り、人の知識や行動を簡単に理解し、学習して人間を超える人工知能のことをいいます。人工超知能は人間には思いつかないようなアイデアを生み出せるほか、問題解決や意思決定能力が人以上に優れているといわれています。
人工超知能を使えば、社会問題や環境問題を簡単に解決する手助けになると期待される一方、人間以上の知能を持っているため、世界全体でのレギュレーションが必要と議論されています。
人工知能の学習方法
人工知能は2種類の学習方法で知識を取り入れています。
- 機械学習
- ディープラーニング
上記の2種類をそれぞれ見ていきましょう。
機械学習
機械学習は、人工知能にさまざまなルールや発動パターンのデータを与えて学習させる手法です。人工知能の機械学習はデータの量や質によって大きく変わるので性能が左右します。
機械学習には3パターンの学習方法があるので、それぞれ見ていきましょう。
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 強化学習
教師あり学習は、人が教師になり人工知能に「問題」と「正解」を与えて学ばせる手法です。大量の問題と正解を学ばせると、見たことがない問題が発生した場合、正解にたどり着けるようになります。ただし、問題と正解を大量に教えなくてはいけないため、かなりの時間がかかるでしょう。
教師なし学習は、人工知能に「正解」を渡さず学ばせる手法です。人工知能自らが正解を導き出すため、有益な情報が手に入りやすくなります。ただし、人工知能は本当の正解を知らずに答えを導き出すため、主観的な要素が入りやすいです。
強化学習は、人工知能が行った行動に点数をつけて学ばせる手法です。人工知能が高得点になるような判断を自身で導きだしてくれます。強化学習はオセロや囲碁などのゲーム、掃除ロボットなどに使われます。
ディープラーニング
ディープラーニングとは、機械学習の効果と効率をアップさせた学習方法です。ニューラルネットワークと呼ばれる人間の脳の神経回路をコピーしたシステムを使用しています。
- データをインプットさせる「入力層」
- データ分析を行う「学習層」
- 分析結果をアウトプットさせる「出力層」
大量にインプットしたデータを学習層部分で何度も試行錯誤を繰り返して出力します。画像認識、音声認識、自然言語処理など現代で多く使われている人工知能もこのディープラーニングを使用しています。ニューラルネットワークは人工知能の頭脳ともいえる大切なシステムです。
人工知能の活用方法
人工知能はさまざまな分野で使われています。
- 音声認識
- 画像認識
- 異常検知
- 自然言語処理
- 分析や予測
- クリエイティブの自動化
上記内容を1つずつ見ていきましょう。
音声認識
音声認識は、音声を読み取って会話の内容を簡単に言語化してくれる人工知能です。使い方は簡単で、iPhoneの場合「Siri」や「Googleアシスタント」が音声認識機能です。そのほかにも会話ができるカーナビやスマートスピーカーなどがあり、音声認識機能は人々の暮らしになくてはならない存在です。ビジネスでは会議や議事録作成の文字起こしなどに使われています。
画像認識
画像認識は画像を認識してテキストを作成してくれます。画像内に書かれている文字をテキストとして認識し、それを自動で簡単に文章化してくれます。写真に書かれている英語のポスターを画像認識させると、日本語に訳して自動でテキスト生成が可能です。また、会議などで配布された手書き資料を写真で撮影し、テキスト化することもできます。
異常検知
異常検知はデータをもとに知識と異なる情報を簡単に探し出してくれます。人工知能を使うと、人間が気づかない小さな違いや機械の故障兆候なども検出してくれます。ビジネスではシステム障害の検知、クレジットカード不正利用の検出、異常行動の選別などさまざまなシーンで使われています。
自然言語処理
自然言語処理は人の言語を自動で処理し、その内容を検索してくれる優れた機能です。自動入力変換、インターネット検索エンジン、音声入力システムなどさまざまなアプリケーションで使われています。インターネット上の検索エンジンに自分が知りたいと思う文字を入れると、自然言語処理機能を使って、文章を解読します。そして解読した文字を理解し、検索した内容を表示してくれます。
分析や予測
人工知能が進化したことによって、ビックデータ分析や予測ができるようになりました。人工知能を使うと過去のデータを使用して簡単に未来の予測ができます。医療現場では病の予測や最適な治療方法、ビジネスでは需要予測、天気予報などで使われています。
クリエイティブの自動化
人工知能は映画、画像、楽曲の制作などクリエイティブな作業にも使えます。動画を簡単に作成できるアプリケーション「RunwayML」、音楽を自動で簡単に作れるシステム「Ecrett Music」、画像を自動で簡単に生成できる「MyEdit」などがあります。インターネット上のみでクリエイティブ作業ができるため、映画の現地撮影や画像撮影が不要になるかもしれません。これらの人工知能を使えば、だれでも簡単にクリエイティブ作業が可能になるので、人手不足の解消にも繋がります。
人工知能の簡単解説まとめ
人工知能は簡単にいうと、人間の知識をもったコンピューターです。人工知能は人間が作ったデータをベースにし、人々をサポートしてくれます。私たちが普段使っている自然言語処理や音声認識機能も人工知能を用いています。また、ビジネスではビックデータ解析や予測、異常検知機能以外にもさまざまな使い方がされています。人工知能のさらなる進化に期待しましょう。