インターネットの普及やAIの飛躍的進化を背景に、ビッグデータを分析・活用するデータサイエンティストへのニーズが高まっています。
データに基づいた科学的な意思決定を求める企業が増える中、そのスキルを証明できるデータサイエンティスト関連の資格取得を目指す方も増加してきました。
この記事では、データサイエンティストの国家資格を5選ご紹介します。
各資格の難易度や受験料もお伝えするので、確かなスキルセットを身につけるためにも、ぜひデータサイエンティストの国家資格取得を検討してみてください。
データサイエンティストの国家資格とは?
データサイエンティストの国家資格とは、国が定めた機関が認定したデータサイエンティストに関連する資格のことです。
データサイエンティスト関連の国家資格を主催するIPAは、いくつもの情報処理技術者向けの国家資格を実施しており、その中には、「データベーススペシャリスト試験」や「応用情報技術者試験」など、データサイエンティストの育成に役立つ資格も含まれています。
IPAとは
IPA(情報処理推進機構)は、経済産業省が所管する独立行政法人です。
デジタル社会の発展・推進を目的として設立され、「デジタルで豊かな社会に」というミッションのもと、データとデジタル技術を活用し、産学官(産業・大学・行政)の連携を促進しています。
IPAが実施する情報処理技術者試験は、IT人材の育成と評価に大きく貢献しており、日本のIT業界の発展を支える基盤となっています。
IPAの資格一覧
IPAでは、情報処理技術に関するさまざまな認定資格を主催しています。
以下は、2024年9月時点で受験可能なIPAの資格一覧です。
資格の種類 | 主な内容 |
ITパスポート試験(IP) | IT全般のビジネススキル |
情報セキュリティマネジメント試験(SG) | ITセキュリティの基礎 |
基本情報技術者試験(FE) | IT技術の基礎 |
応用情報技術者試験(AP) | IT技術の応用 |
ITストラテジスト試験(ST) | 企業戦略とITの融合 |
システムアーキテクト試験(SA) | ITシステムの設計や開発 |
プロジェクトマネージャ試験(PM) | 大規模ITプロジェクトの管理・運営 |
ネットワークスペシャリスト試験(NW) | ネットワークシステムの設計・運用 |
データベーススペシャリスト試験(DB) | データベースの設計・管理 |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES) | 組み込みシステムの取り扱い |
ITサービスマネージャ試験(SM) | ITサービスの運用・管理 |
システム監査技術者試験(AU) | ITシステムやプロセスの監査 |
情報処理安全確保支援士試験(SC) | サイバーセキュリティの専門分野 |
参照:IPA「試験区分一覧」
データサイエンティストには、国際的に認可された資格もいくつかあります。
以下の記事では、データサイエンティストのおすすめ国際資格をご紹介しているので、ぜひ参考にしてキャリアアップの選択肢を広げてください。
データサイエンティスト検定とは
IPAが主催する国家資格以外にも、データサイエンティスト向けの資格はいくつかあります。その中でも人気が高いのは、データサイエンティスト検定です。
データサイエンティスト検定は、一般社団法人・データサイエンティスト協会が認定する資格試験で、データサイエンティストに求められる「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニア力」の3つのスキルを軸に評価しています。
この資格は、以下の4つのスキルレベルに分かれています。
スキルレベル | 難易度 | 対象者 |
シニア データサイエンティスト | 高 | 業界全体でリードできる熟練者 |
フル データサイエンティスト | 高~中 | 組織やチームの主導者 |
アソシエート データサイエンティスト | 中~易 | プロジェクトを動かす実務者 |
アシスタント データサイエンティスト | 易 | 見習いレベルの初心者 |
データサイエンティスト検定の役割
データサイエンティスト検定は、急速に発展するデジタル社会において、データサイエンティストを必要とする企業とその人材をつなぐための、一つの指針としての役割を担っています。
2024年6月の試験より、生成AIの活用スキルを試験項目に追加するなど、常に最新の技術動向を反映して進化と改善を続けています。
実施時期 |
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試験時間 | 100分 |
試験形式 | CBT形式 |
出題数 | 100問 |
データサイエンティストの国家資格におすすめの学習方法
データサイエンティストの国家資格(IPA)に目指す際の学習方法はいくつもありますが、実践的なスキルを効率的に習得し、短期間で実力向上を目指すには、データサイエンティストに特化したセミナーがおすすめです。
多くのセミナーは、座学だけでなく実際のデータセットを使ったハンズオン形式のカリキュラムを組んでいます。セミナーを利用して学習することにより、理論だけでなく、データの処理や分析に応用できる実践的なスキルを身につけられます。
データサイエンティストセミナー|ProSkilll
データサイエンティストセミナーは、2日間でデータサイエンスの基礎から応用までを学び、実務で即戦力となるスキルを習得できまる初心者向けセミナーです。
セミナー1日目では、データサイエンスの基礎知識、統計学、Pythonプログラミングなど、データ分析の流れを幅広く学習。2日目では、ビッグデータの解析、プロジェクトマネジメント、時系列分析、マーケティング予測など、より実践的な内容を学びます。
データサイエンティストの国家資格に最短で合格したい方は、ぜひ以下の公式ページで詳しい情報をチェックしてみてください。
受講期間 | 2日 |
受講形式 |
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受講料金 |
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データサイエンティストに適した国家資格
IPAの国家資格は、ITに関する基礎知識から高度な専門スキルまで幅広くカバーしています。
データサイエンティストを目指す方にとって、最も関連性の高い資格は「データベーススペシャリスト試験」です。
この国家資格は、データサイエンティストの中でも特に評価が高く、データの収集、加工、分析、そして可視化に至るまで、幅広いデータサイエンスの工程において必要とされる専門知識を証明できます。
初心者はIT基礎の国家資格からスタートしよう
しかし、いきなりデータスペシャリスト試験にチャレンジするのは、初心者の方にとってはハードルが高いかもしれません。そんなときは、まずITの基礎を固めるIPAの国家資格を取得して、一歩ずつステップアップしましょう。
はじめのステップとしては、まず以下のいずれかの国家資格を取得してITの基礎的なスキルを習得してください。
- ITパスポート試験情報
- セキュリティマネジメント試験
- 基本情報技術者試験
次に、より高度なIT知識を習得するために「応用情報技術者試験」に挑戦します。その後、「データベーススペシャリスト試験」の取得を目指しましょう。
このステップを踏むことで、データの分析や管理に関する専門的なスキルを体系的に習得でき、データサイエンティストとしてのキャリアを着実に築けます。
データサイエンティストの国家資格5選
それでは、データサイエンティストを目指せる国家資格を5選ご紹介しましょう。
各国家資格の実施時期、試験時間、出題形式、出題数もお伝えするので、受験を検討している方もぜひ参考してください。
- ITパスポート試験
- 情報セキュリティマネジメント試験
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- データベーススペシャリスト試験
国家資格①ITパスポート試験
ITパスポート試験は、データサイエンティストの基礎を築く国家資格です。
この試験では、コンピュータシステム、データベース、ネットワークなどのITの基礎知識から、情報セキュリティ、情報デザイン、AIやIoT、ビッグデータのような最先端技術まで幅広く出題されます。
ITに関する共通的な基礎知識が問われるので、データサイエンティストの国家資格の第一歩にはもちろん、今後ビジネスシーンで活躍する方にもおすすめの国家資格です。
実施時期 | 随時 |
試験時間 | 120分 |
出題形式 | 多肢選択式 |
出題数 | 100問 |
難易度 | 易~中 |
国家資格②情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティの基礎的な知識と実行力を証明する国家資格で、データサイエンティストを目指す方や情報システムに関わる方におすすめです。
この試験では、部門の情報セキュリティ対策を企画・実行するリーダー力、ITの基礎的スキル、情報セキュリティの適切なリサーチ、関係者への共有力が問われます。
実施時期 | 随時 |
試験時間 | 120分 |
出題形式 | 多肢選択式 |
出題数 | 60問 |
難易度 | 易~中 |
国家資格③基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITの基礎知識を証明する国家資格です。
この試験に合格すると、データサイエンティストに必要な、データベース設計やネットワーク構築など、データ分析の基盤を築くスキルを習得できます。ITシステムの企画や設計、運用などのIT業務に携わりたい方にもおすすめです。
実施時期 | 随時 |
試験時間 | 90分 |
出題形式 | 多肢選択式 |
出題数 | 60問 |
難易度 | 易~中 |
国家資格④応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、IT全般の応用スキルを証明する国家資格です。
データサイエンティストに必要なビッグデータ分析をはじめ、ITを活用した経営戦略に対する差異分析、企画書の作成、システム技術の調査など幅広いスキルを問われます。
データサイエンティストとして、より高度なデータ分析プロジェクトをリードできるようになり、さらにITシステムの企画から開発、運用まで対応するプロジェクトマネージャーとしても活躍できます。
実施時期 | 春期・秋期 |
試験時間 | 150分 |
出題形式 | 多肢選択式 |
出題数 | 80問 |
難易度 | 中 |
国家資格⑤データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、ビッグデータを効率的に管理・運用する高度なスキルを証明する国家資格です。
具体的には、データ資源管理とリポジトリシステムの扱い、ニーズに基づく正確なデータモデリング、セキュリティを考慮したデータベース管理などを問われます。
この国家資格に合格するためには、データベースを統合的に評価し、目的に応じた適切な選択ができる実行力が必要です。国家資格取得後は、より高度なデータ分析基盤を構築し、ビジネスに貢献できるデータサイエンティストとして活躍できます。
実施時期 | 秋期(10月) |
試験時間 |
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出題形式 |
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出題数 |
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難易度 | 高 |
データサイエンティスト向けの資格はその他にも数多くあります。
以下の記事は、データサイエンティストにおすすめの資格や取得するメリットについても解説しているので、データサイエンティストに興味がある方もぜひ参考にしてください。
データサイエンティストの国家資格を取得するメリット
データサイエンティストに関連する資格は民間資格も多いですが、国家資格により得られるメリットは何があるのでしょうか?
最後に、データサイエンティストの国家資格を取得するメリットについて解説しましょう。
メリット①国家資格としての信頼性・権威性を得られる
データサイエンティストの国家資格は、経済産業省によるIT政策実施機関が認定した資格という信頼性・権威性を得られます。
特に、就職・転職時の面接の際に、履歴書に国家資格と記載できるのは、他者との差別化にも有効です。国家資格ならではの認知度の高さにより、他者から資格の価値を正確に評価してもらえるというメリットもあります。
データサイエンティストになるために明確なスキルは必要ありませんが、やはり国家資格というブランドを提示した形で相手に示せるのは大きなアドバンテージです。データサイエンティストとしてさらなる高みを目指す方にとっても、魅力的な要素といえるでしょう。
メリット②試験の詳細やシラバスが公開されている
データサイエンティストの国家資格「IPA」は、それぞれ試験の詳細やシラバスを公式サイトで公開しています。データサイエンティストの国家資格の合格率を高めるにあたり、サポートの充実度はとても重要です。
これらの情報は、IPAの公式サイトで各資格をクリックし、試験の詳細が開いたページの最下部「参考リンク:出題等について」で閲覧できます。試験要項、およびシラバスはPDF形式で交付しているので、じっくりと学習計画を立てたい方にも最適です。
さらに過去問題まで無料で利用できるため、個人で購入する必要もありません。
「合格」という目標を効率的に達成できるのも、データサイエンティストの国家資格ならではのメリットといえるでしょう。
データサイエンティストの国家資格についてまとめ
データサイエンティスト向けの国家資格はいくつもありますが、最も専門性が高く高度なスキルは「データベーススペシャリスト試験」でした。効率的に合格を目指したい方は、学習方法にこだわるのも一つの戦略です。
データサイエンティストセミナーは、わずか2日間でプロレベルのデータサイエンティストスキルを習得できます。
学習スタイルも3種類(会場受講・ライブウェビナー・eラーニング)あるので、「多忙で会場まで出向けない」という方もぜひ気軽に利用してみてください。