AIが私たちの生活に当たり前のように浸透しつつある中、ビジネスの現場でもAI技術を活用する動きが急速に広がっています。そこで注目を集めているのが、ディープラーニングの専門知識を証明できる「E資格」です。
本記事では、E資格の合格点の実態や最新の合格率、さらに効果的な勉強法について詳しく解説していきます。これから受験を目指す方に向けて、実践的なアドバイスもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
情報収集と対策をしっかり進め、E資格の合格を勝ち取りましょう。
E資格とは
E資格(エンジニア資格)は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定する、ディープラーニングに関する専門的知識と技術を有するエンジニアを対象とした民間資格です。
AI技術の実装力や理論理解を証明できる資格として、エンジニアだけでなく、データサイエンティストや研究職を目指す人にも注目されています。
試験の基本情報は次のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
試験名 | E資格(JDLA Deep Learning for ENGINEER) |
対象者 | エンジニア、AI技術者、データサイエンティスト志望者など |
受験資格 | JDLA認定プログラムを修了していること |
試験形式 | CBT方式(選択式) |
試験場所 | 各地の指定試験会場 |
試験時間 | 120分 |
出題範囲 | シラバスより出題(数学、機械学習、深層学習、開発環境) |
年間実施回数 | 年2回 |
なお、E資格の受験には、あらかじめJDLA認定プログラムを事前に修了する必要があります。
「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」は、短期間で効率よくE資格の合格を目指せるJDLA認定プログラムです。実務に役立つ実践的な内容となっておりますので、E資格を受験の際はぜひご検討ください。
セミナー名 | E資格対策ディープラーニング短期集中講座 |
---|---|
運営元 | ProSkilll(プロスキル) |
価格(税込) | 54,780円〜 |
開催期間 | 4日間 |
受講形式 | 対面(東京)・ライブウェビナー・eラーニング |
また、E資格の概要や詳しい難易度、G検定との違いについてはこちらもチェックしてください。
E資格の合格点は何点?
E資格を受験する上で、誰もが気になるのが「合格点」ですよね。ここでは、E資格の合格点や過去データを参照した合格ラインについて詳しく解説していきます。
公式から合格点は公表されていない
E資格では、試験の合格点が公式に公表されていません。これは、試験の公平性や難易度の調整、問題の質を保つための措置と考えられています。
E資格はCBT(Computer Based Testing)方式を採用しており、受験者ごとにランダムな問題が出題される仕組みです。そのため、毎回同一の基準で採点するのが困難とされています。
また、出題範囲の広さや問題ごとの難易度のばらつきも影響しており、合格ラインは統計的な手法によって柔軟に調整されている可能性が高いです。
過去データから見る合格ラインの目安
E資格の合格点は公式に公表されていませんが、過去の受験者の報告や合格率データから、合格ラインの目安を推測することが可能です。
一般的に、E資格の合格率はおおよそ70%前後とされています。得点ベースで見ると、過去の傾向からは「70点以上」が合格ラインの一つの基準と考えられます。
ただし、E資格はCBT方式を採用しており、試験問題が受験者ごとにランダムに出題されるため、単純に得点率だけで合否が決まるわけではない点には注意が必要です。
こうした情報を踏まえたうえで、過去問や模擬試験を活用し、自身に合った目標点を定めて学習を進めていきましょう。
E資格に落ちた場合の対処法と再受験の流れ
E資格は専門性の高い内容が問われるため、初回の受験で不合格となってしまうケースもあります。
しかし、落ちたからといって焦る必要はありません。まずは自分の弱点や理解不足の分野を客観的に振り返ることが重要です。試験問題の傾向を再確認し、間違えた分野を重点的に学習し直しましょう。
再受験する場合、JDLA認定プログラムの修了証が有効期限内(概ね2年間)であれば、再度講座を受ける必要はありません。次回の試験に向けて、模擬試験や過去問を活用しながら、得点力を高めていくことが合格への近道です。
E資格に落ちた原因については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せて参考にしてください!
E資格の最新合格率と受験者動向
最新の受験者数と合格率(2024年~2025年)は次の通りです。
開催回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024年 第1回 | 1,194名 | 867名 | 72.61% |
2024年 第2回 | 906名 | 600名 | 66.23% |
2025年 第1回 | 1,043名 | 712名 | 68.26% |
2025年 第1回のE資格試験では、受験者数が1,043名、合格者数が712名で、合格率は68.26%となりました。前年と比較して受験者数はやや減少していますが、合格率は安定しており、例年通りの水準を維持しています。
参考:2025年 第1回 E資格(エンジニア資格)」結果発表|JDLA
年代別の合格者割合を見ると、20代と30代で全体の約72%を占めており、若年層の受験者が多いことがわかります。これは、AIやディープラーニング分野への関心が高まっていることや、キャリアアップを目指す若手エンジニアが増加していることが影響していると考えられます。
これからE資格の受験を考えている人は、過去問や模擬試験を活用し、目標得点を設定して学習を進めることが重要です。特に若年層の受験者が増えていることから、競争が激化している可能性もあるため、計画的な学習が求められます。
E資格の科目別の難易度分析
E資格の試験範囲は、ディープラーニングに関わる理論と実装を体系的にカバーしており、「応用数学」「機械学習」「深層学習」「開発環境」の科目に分かれています。ここでは、最新の合格率を踏まえ、各科目の難易度と傾向、効果的な対策方法について解説します。
分野 | 難易度(目安) | 出題傾向 | 効果的な対策法 |
---|---|---|---|
応用数学 | やや高い |
|
|
機械学習 | 標準 |
|
|
深層学習 | 高い |
|
|
開発環境 | 標準〜やや低め |
|
|
応用数学の難易度、傾向と対策
応用数学では、次のような数理的分野からの問題が中心に出題されます。
- 線形代数
- 確率・統計
- 微分積分
- 情報理論
- 最適化理論
過去の試験では、ベクトルや行列の演算、確率分布の理解を問う問題がよく出題されており、基礎力の有無がそのまま得点に直結します。
難易度は中程度とされますが、数学が苦手な受験者にとっては最初の関門です。数式を丸暗記するのではなく、「なぜその式になるのか」を論理的に理解しておきましょう。
対策としては、数学の基本を押さえたうえで、問題演習を繰り返すことで、試験での計算力と読解力を養うのが効果的です。
機械学習の難易度、傾向と対策
機械学習では、次のような基礎理論や手法に関する問題が出題されます。
- 教師あり学習と教師なし学習の基本概念
- 回帰・分類モデル(線形回帰、ロジスティック回帰など)
- 決定木、ランダムフォレスト、SVM(サポートベクターマシン)
- k-means法や主成分分析(PCA)などの次元削減・クラスタリング手法
- モデル評価指標(精度、再現率、F値、ROC曲線など)
- 過学習と汎化、バイアス・バリアンストレードオフの考え方
アルゴリズムの構造や計算ステップの理解、過学習・汎化性能に関する知識が問われることが多く、やや理論寄りの内容です。
難易度は中程度とされますが、数学的知識と概念の理解を組み合わせる必要があるため、基礎を疎かにすると得点が伸びにくい傾向があります。
対策としては、各アルゴリズムの目的・特徴・適用範囲を整理し、演習問題を通じて判断力を養うことが重要です。図解やシミュレーションを活用することで、より直感的に理解が深まるでしょう。
深層学習の難易度、傾向と対策
深層学習では、次のような理論やアーキテクチャに関する問題が出題されます。
- パーセプトロン、多層パーセプトロン(MLP)とその学習手法
- 活性化関数(ReLU、Sigmoid、Tanhなど)の役割と特性
- 誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)と勾配降下法
- 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の構造と用途
- 再帰型ニューラルネットワーク(RNN)とその課題(勾配消失など)
- 長短期記憶(LSTM)、ゲート付きRNN(GRU)
- 正則化手法(Dropout、Batch Normalizationなど)
- 損失関数(クロスエントロピー、MSEなど)の選択と意味
- 転移学習やファインチューニングの活用法
試験範囲の中でも出題数が多く、理論と実装の両面が問われるため、全体の難易度は比較的高めです。
誤差逆伝播法や活性化関数、損失関数の挙動など、計算式を伴う設問が頻出するため、ただの用語理解では対応が難しい場面があります。深層学習の仕組みを数式ベースで理解し、構造ごとの違いを明確に把握しておきましょう。
対策としては、実際にディープラーニングフレームワークを用いてモデルを構築・訓練しながら学ぶ方法が効果的です。学習の挙動を「体験」することで、理論への理解も自然と深まります。
開発環境の難易度、傾向と対策
開発環境では、次のようなプログラミング・ライブラリに関する知識が出題されます。
- Pythonの基礎文法と数値処理ライブラリ(NumPy、Pandasなど)
- 機械学習・深層学習ライブラリ(scikit-learn、TensorFlow、PyTorchなど)
- モデルの構築・学習・推論の実装フロー
- データ前処理(正規化・標準化・欠損値処理など)
- Jupyter Notebookなどの開発ツールの基本操作
- 学習時のGPU活用と環境構築(CUDA、cuDNN など)
- モデルの保存・再利用(Pickle、ONNX、SavedModelなど)
- 再現性や実験管理のためのツール(Git、MLflowなど)の基礎
問題の難易度はやや低めですが、出題範囲が広いため油断は禁物です。
試験では「この設定ではどのように出力されるか」や「コードのどの部分が間違っているか」といった実装に近い設問が出されることがあります。普段からPythonに触れていない受験者にとっては、少し戸惑う内容かもしれません。
対策としては、公式チュートリアルや認定講座での演習課題を活用し、実際にコードを書いて動かすことが効果的です。開発環境の構築やライブラリの使い方を一通り体験しておくことで、確実な得点源にできるでしょう。
E資格で合格点を取るための効果的な勉強法
E資格は出題範囲が広く、理解・応用・実装のバランスを意識した学習が不可欠です。ここでは、合格を目指す上で効果的な勉強法を具体的にご紹介します。
認定プログラムの講座内容をしっかり復習する
E資格の受験にはJDLA認定のプログラム修了が必須ですが、講座を受講するだけで満足してしまうと合格は難しくなります。大切なのは、講座で学んだ内容を自分の言葉で説明できるレベルまで復習し、知識を定着させることです。
ディープラーニングの理論や数式の意味、アルゴリズムの挙動などは、繰り返し学ぶことで深く理解できます。講座で使用された資料や動画を活用し、苦手分野を重点的に見直しましょう。
「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」は、試験対策はもちろん復習としても活用しやすい教材を提供しているのも魅力です。学習から復習、知識の定着まで、効率よく合格力を高めたい方は、ぜひチェックしてみてください。
応用数学を重点対策する
E資格において応用数学は、ディープラーニングの土台となる重要な分野であり、この部分の理解が他の科目の学習効率や合格点にも大きく関わってきます。
特に行列の演算や勾配計算、確率分布の理解は、ニューラルネットワークの構造や学習アルゴリズムを理解する際に欠かせません。公式を暗記するだけでなく、「なぜそうなるのか」を説明できるレベルを目指すと、応用問題にも対応しやすくなります。
過去問(類似問題)や模試を活用する
E資格は問題ごとに難易度や出題形式にばらつきがあるため、過去問や類似問題、模擬試験を活用した実践的な対策が効果的です。公式には過去問が公開されていないものの、認定講座や参考書、受験者の体験談から構成された模擬問題集を通じて出題傾向を把握できます。
時間配分の感覚を身につけるためには、実際の試験時間に合わせた模試の実施が有効です。出題形式に慣れておくことで、当日の緊張を軽減し、冷静に問題に取り組むことができます。
また、模試の結果を分析し、自分の弱点を明確にして重点的に復習することで、学習効率が大きく向上します。
評判のいい教材などを使って学習する
E資格対策において、質の高い教材を選ぶことは学習効率を大きく左右します。特に初学者や独学での受験を検討している人にとっては、信頼できる教材を使うことで、理解の深さが格段に変わります。
市販のテキストでは、JDLA認定プログラムの監修が入った書籍や、過去の出題傾向を反映した問題集が人気。またYouTubeやUdemyなどの動画講座も、視覚的に理解を深められる点で効果的です。
重要なのは、自分に合った形式の教材を選び、繰り返し活用すること。教材を絞って何度も復習することで、理解の精度が高まり、試験本番でも知識を確実に活かせるようになります。
E資格の勉強に最適な問題集や参考書については、こちらもチェックしてください。
勉強スケジュールを明確に立てて管理する
E資格のように出題範囲が広く専門性の高い試験では、やみくもに勉強を進めるのではなく、自分のライフスタイルや学習時間に合わせて無理のないスケジュールを立てることも重要です。
まずは試験日から逆算し、必要な学習項目を週単位・日単位で分割していきましょう。各科目の進捗を「見える化」することが、モチベーション維持にもつながります。また週に一度は進捗を振り返り、計画の見直しを行うと、学習の質が安定します。
合格者の体験談から得るリアルなアドバイス
E資格の合格者たちは、どのように学習を進め、どのような工夫で合格点をクリアしたのでしょうか。
JDLA公式サイトには、実際にE資格に合格した方々のリアルな声が掲載されており、これから受験を目指す人にとって貴重なヒントになります。ここでは、そうした体験談の中から、特に参考になるアドバイスをいくつかご紹介します。
ディープラーニング周りのことと新しいニュースについては、けっこう勉強しないと大変だと感じていましたね。ニュースについては運もあるので、とにかくディープラーニング周りのところをひたすら何周も何周も重点的にやりました。
参考:E資格合格者インタビュー
私もディープラーニングの知見を身につけたいと思っていましたから、そこに注力したのが一つ。あとは、周りで受けた方がいたことで、情報共有とモチベーションを維持するのに助かりました。とくに私より早くE資格に合格した先輩からお話を聞くことで、より合格に近づけたと思っています。
参考:E資格合格者インタビュー
講座がとてもわかりやすかったです。また、輪講(参加者が交代で担当箇所を発表する形式)を通じて学生同士で補完していたので、いくつか難しい問題はありましたが、試験では落ち着いて臨むことができました。輪講は、ゼミの仲間同士でシラバスを分担して、専門分野以外のところを講義したり問題集を一緒に解いたりと半年かけて準備しました。輪講以外では、E資格の認定プログラムを提供している事業者が発行している問題集を何度も解きました。
参考:E資格合格者インタビュー
このようなリアルなアドバイスには、実際のE資格取得に向けた勉強に取り入れるべきさまざまなヒントが詰まっています。自分に合った方法を見つけながら、計画的に対策を進めて、合格点の突破を目指しましょう。
E資格の合格点を目指して、今すぐ対策を始めよう!
E資格の合格を目指すには、出題傾向を正しく把握し、戦略的に学習を進めることが不可欠です。合格点は公表されていないものの、過去データや体験談から一定の目安は見えてきます。
応用数学や深層学習といった重要科目の対策、認定講座の復習、模試などによって自分の弱点を把握し、必要な教材や学習方法を選びながら、地道に実力を積み上げていきましょう。