クラウド技術の普及に伴い、AWS(Amazon Web Services)のスキルの重要性はますます高まっています。そのためAWS資格を取得することで、クラウドコンピューティングの専門知識を証明し、キャリアの幅を広げることが可能になるでしょう。
とはいえAWS資格は種類が多く、入門から上級レベルに適した資格があり、難易度や注意点も異なります。「どの資格がおすすめなのか」で迷ってしまう方は少なくありません。
本記事ではレベル別のおすすめAWS資格の詳細、難易度、そして取得する際の注意点を解説します。
AWS資格の概要
こちらはAmazon Web Services(AWS)が提供するクラウドコンピューティング技術に関する認定資格の総称です。主にクラウドソリューションの設計、実装、運用に必要なノウハウが求められます。
AWS資格はクラウド技術の理解を深めることでキャリアの向上や転職に役立つことから、多くのIT人材や有識者の方々に人気があります。難易度レベルも大きく4つに分かれており、次章で解説します。
なお「AWS資格そのものの概要についてより詳細に知りたい」という方は、以下の記事でもわかりやすく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
AWS資格の種類と難易度
AWS資格は全部で10種類ありますが、レベルの分類は大きく以下の4種類です。
- FOUNDATIONAL(入門者向け)
- ASSOCIATE(初心者向け)
- PROFESSIONAL(中級者向け)
- SPECIALTY(上級者向け)
それぞれを一覧にまとめたものが、以下のとおりです。
分類 | 種類・名称 | 難易度 | 受験者層 |
FOUNDATIONAL(入門者向け) | Cloud Practitioner | ★☆☆☆☆ | 初めてAWSに触れる方 |
ASSOCIATE(初心者向け) | SysOps Administrator | ★★☆☆☆ | これから運用・保守関わる初心者 |
ASSOCIATE(初心者向け) | Developer | ★★☆☆☆ | アプリ開発におけるデバッグまたはデプロイ担当者 |
ASSOCIATE(初心者向け) | Solutions Architect (Associate) |
★★☆☆☆ | システム設計初心者~中級者 |
ASSOCIATE(初心者向け) | Data Engineer | ★★★☆☆ | データ設計及び管理の初心者~中級者 |
PROFESSIONAL(中級者向け) | Solutions Architect (Professional) |
★★★☆☆ | システム設計中級者~上級者 |
PROFESSIONAL(中級者向け) | DevOps Engineer | ★★★★☆ | デプロイ自動化やアプリ開発上級者 |
SPECIALTY(上級者向け) | Advanced Networking | ★★★★★ | 経験5年程度の上級ネットワークエンジニア |
SPECIALTY(上級者向け) | Security | ★★★★★ | 高度なスキルと実務経験のあるセキュリティエンジニア |
SPECIALTY(上級者向け) | Machine Learning | ★★★★★ | 機械学習の知識と技術をもつ方 |
ひとえにAWS資格と言ってもこれだけの種類があり、運用保守から設計、ネットワークやセキュリティ、機械学習などジャンルも細かく枝分かれしています。
入門者におすすめのAWS資格
前述でも述べていますが、入門者におすすめのAWS資格は「Cloud Practitioner」になります。
入門者におすすめの資格①Cloud Practitioner
これからAWSおよびITに触れる未経験者を対象にしたおすすめ資格です。
一般的にクラウドの概要や目的、コンプライアンス、各種サービス詳細といった基礎的な内容が出題されます。
もっとも簡単なAWS資格はCloud Practitioner
数あるAWS資格の資格の中でもっとも簡単なおすすめ資格は、FOUNDATIONALレベルにある「Cloud Practitioner」試験になります。
完全未経験者に向けた内容となっており、受験者層の大半が「これからAWSに触れる初心者」です。それでいて合格率は例年約60%前後となっています。転職や年収アップが目的の方にはおすすめできないものの、AWSの基礎を幅広く学べる内容ですので最初の腕試しの用途におすすめといえるでしょう。
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初心者におすすめのAWS資格
初心者または脱・初心者を目指す方におすすめ資格は、以下になります。
- SysOps Administrator
- Developer
- Solutions Architect(Associate)
- Data Engineer
それぞれ順を追って解説します。
初心者におすすめの資格①SysOps Administrator
こちらは主にデプロイやシステム管理・運用におけるスキルを試されるおすすめ資格です。
クラウドコンピューティングに携わる方であれば必須のスキルなので、レベルは初心者向けと言っていいでしょう。
初心者におすすめの資格②Developer
テスト、デプロイ、デバックなど、アプリケーションの開発に必要な知識が問われる内容です。
網羅的な内容で範囲が広いので、AWSを用いた開発を行いたい方におすすめです。
初心者におすすめの資格③Solutions Architect(Associate)
ソリューションアーキテクトとは、AWSサービスの設計や実装にについての幅広い知識が求められるものです。
1年程度の実務経験がある方が対象となるので、未経験からでは不可能ではないものの少し難しいでしょう。
初心者におすすめの資格④Data Engineer
こちらは現代とくに重要視されている「データ」の取り扱技術に関するおすすめ資格となります。
データ抽出や圧縮、取り込みや変換、またプログラミング技術も必要で、前述ソリューションアーキテクトとほぼ同様の難易度です。
中級者におすすめのAWS資格
中級向けのAWS資格のおすすめでしたら、以下が挙げられます。
- Solutions Architect(Professional)
- DevOps Engineer
それぞれ見ていきましょう。
中級者におすすめの資格①Solutions Architect(Professional)
クラウドアーキテクチャの設計およびデプロイに関するおすすめ資格です。
前述のアソシエイトレベルのソリューションアーキテクトとは別物で、より難解な問題に対するソリューション提供、セキュリティやパフォーマンス最適化などが出題されます。
中級者におすすめの資格②DevOps Engineer
アプリケーションの運用・管理、インフラ構築、OS管理など、全体的にインフラエンジニア向けのおすすめ資格となっています。
2年程度の実務経験がある方を対象としているため、やはり難易度が高いことは間違いありません。
上級者におすすめのAWS資格
上級者、専門家に向けたおすすめAWS資格として分類されているのは、以下3つです。
- Advanced Networking
- Security
- Machine Learning
上級者におすすめの資格①Advanced Networking
ネットワーク分野に特化したAWSおすすめ資格で、ネットワーク構築や接続に関する深い知識が求められます。ただでさえ難解なネットワーク分野で、加えて実務経験5年程度の方を対象としているので初心者には難しいでしょう。
ただ取得によって大きなステータスになることは間違いありません。
上級者におすすめの資格②Security
セキュリティ環境の構築や実装、メカニズムについての出題がメインです。セキュリティはどのIT企業でも最重要な項目で、かつAWS自体も非常に需要の高いので、大きなステータスになるおすすめ資格と言えるでしょう。
とはいえ高度なスキルと経験が求められるので、入念な試験対策をしなければなりません。
上級者におすすめの資格③Machine Learning
主に機械学習の実装やトレーニング、調整、運用に関する知識が求められるおすすめ資格です。
ゆくゆくAIに携わりたい方、機械学習エンジニアを目指している方におすすめですが、最低2年以上の実務経験を持つ方が対象なので、レベルは高い傾向にあります。
AWS資格の取得に必要な勉強時間
AWSの合格に必要な勉強時間は、事前知識の有無だったり学習効率や方法でも異なります。
仮に初心者から目指す場合、各資格ごとの所要勉強時間を一覧にまとめると以下のようになります。
名称 | 目安となる学習時間 |
Cloud Practitioner | 約40〜80時間 |
SysOps Administrator | 約80〜120時間 |
Developer | 約80〜120時間 |
Solutions Architect(Associate) | 約80〜120時間 |
Data Engineer | 約80〜120時間 |
Solutions Architect(Professional) | 約120〜200時間 |
DevOps Engineer | 約120〜200時間 |
Advanced Networking | 約200~300時間以上 |
Security | 約200~300時間以上 |
Machine Learning | 約200~300時間以上 |
もっとも優しい難易度のクラウドプラクティショナーの場合、約40~80時間程度しっかり学習すれば、合格レベルに達することは可能でしょう。
一方専門レベルの試験では200~300時間、1日3時間の勉強を毎日行ったとして、早くても約2ヶ月強かかる計算になります。
AWS資格を受験する際の注意点
AWS資格を受けるなら、以下の点に注意が必要です。
- オンライン受験の場合Webカメラの起動が必須
- 更新が3年ごとに必要
それぞれ見ていきましょう。
注意点①オンライン受験の場合Webカメラの起動が必須
オンライン受験の場合だと、Webカメラの起動が必須になります。試験中はカンニング防止のため、試験官とカメラをつないだ状態で実施されるためです。
PC備え付けのカメラがあればそれでもいいですが、なるべく質の良いWebカメラと、上半身と両腕がしっかり写せるスペースを用意しておくのがいいでしょう。なおAWS資格の申込み手順や、オンライン・オフライン受験別の注意点や持ち物など詳細を深堀りしたい方は、以下の記事が参考になるのでぜひご一読ください。
注意点②更新が3年ごとに必要
資格である以上当たり前ですが、AWS資格にも3年ごとの更新が必要です。なお更新は「再試験」なので、初回同様の条件で合格しなければなりません。
進化の耐えないクラウドやAWS技術を証明し続けるには、継続的な学習が必要ということです。
おすすめAWS資格まとめ
AWS資格はクラウドコンピューティングの専門知識とスキルを証明する資格で、基礎から上級まで多くの種類が用意されています。
代表的な種類には、入門者や初心者向けのものだと「Cloud Practitioner」「SysOps Administrator」「Developer」、上級者向けのものだと「Advanced Networking」や「Security」が挙げられます。各資格はそれぞれ役割やスキルセット、試験内容や難易度も異なります。
世界的な需要を誇る大規模クラウドサービスであるAWSの資格を取得できれば、大きなスキル向上による年収や信頼性アップにつながるでしょう。さらにはキャリアの選択肢を「世界」規模で広げることも可能です。
ぜひ自身のレベルと目的に合ったAWS資格を選び、挑戦してみてはいかがでしょうか。