あらゆるシーンのさまざまな形で活用が広がっている「AI」。需要の急拡大によってメディアなどで耳にする機会も増え、私たちの生活にも徐々に浸透しつつあります。
そんな中「単語はよく聞くものの、具体的な意味はわからない」という方は少なくありません。今回の記事ではそのような方に向けわかりやすく簡単に解説します。
本記事では聞き慣れない言葉をなるべく削って、わかりやすいたとえを交え簡単に解説しているので、概要や歴史、分類や事例をしっかり理解できるでしょう。ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。
AI(人工知能)とは簡単にいうと何?
AIとは「人間の脳が行っている学習や判断の能力を備えたコンピューター」の総称です。より簡単にいうと「自分で考えて自分で答えを出すことができるコンピューター全般」といっていいでしょう。
ただ定義は厳密に明確には決まっていないのが現状です。たとえば東京大学大学院工学系研究科の堀浩一教授は「人工的につくる新しい知能世界」のことを指しており、京都大学大学院情報学研究科の西田豊明教授は「知識と心を持つメカ」」のことを指しています。
このように研究者や大学教授によって何をAIと指すかが異なるので、結論「自分で考えて自分で答えを出すことができるコンピューター全般」と認識して差し支えないでしょう。
AIとは何の略?
「Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)」の略です。Artificialが「人工的」、Intelligenceが「知能」という意味なので、日本語に訳すと「人工知能」となります。
名付けの親となっているのは、1950年代の科学者であるジョン・マッカーシー氏です。AIは近年急激に拡大している技術と思われていますが実は1950年代あたりから研究が進められています。
なお、以下の記事でも丁寧・簡単に解説しているのでぜひ参考にしてください。
「AI」と「人工知能」の違い
前述でも簡単に触れていますが「AI」と「人工知能」に違いはなく、AIを日本語に訳したものが「人工知能」となります。両者は同じ意味かつ同じ技術を指していますが、報道メディアやコンテンツの内容で使い分けられます。
たとえば技術や研究、倫理的な問題などを包括して指す場合には「人工知能」が使われ、一方で製品やサービス、業界用語や開発企業などを指す場合には「AI」といった具合に区別されることが多いです。
ディープラーニングを簡単にいうと何?
よく耳にする言葉として「ディープラーニング」があります。ディープラーニングは簡単にいうと「パワーアップしたAI技術のことで、より複雑な思考と回答ができるようになったもの」です。
具体的に言うと「ニューラルネットワークを多用した学習技術」となります。ニューラルネットワークとは人間やその他動物の脳神経をモデルにして生まれた技術のことを指し、下図のように「入力層→中間層→出力層」の順で処理を行うのが特徴です。
引用:markezine
このニューラルネットワークの「中間層」を増やすことで、複雑な思考に対応したものがディープラーニングというわけです。以下の記事でも簡単にわかりやすく解説していますので、興味のある方はご一読ください。
なお、AI研究所が運営・提供する「ビジネス向けAI完全攻略セミナー」なら、凝縮された1日講義でAIビジネスを徹底的に学ぶことができます。未経験でも上記のニューラルネットワークやディープラーニングの専門的な知見が確実に身につくので、ぜひご検討下さい。
AI(人工知能)の歴史
ここでは、歴史について以下のとおり見ていきます。
- 第一次AIブーム(1950~1960年代)
- 第二次AIブーム(1980~1990年代)
- 第三次AIブーム(2000年代~)
第一次AIブーム(1950~1960年代)
1950~1960年代は、人工知能(AI)の概念が初めて提案され研究が活発化した時期です。1956年にダートマス会議が開催されたことでAIの研究がスタートしました。
この時期にはロジック理論や推論などの概念が多く研究されたうえ、AIの名付け親であるジョン・マッカーシー氏によって初期プログラミング言語「LISP」が開発されます。
しかし当時はコンピューターの処理能力が限られていたこと、ならびに複雑な課題解決などの成果につながらなかったことから大きな成功は収められず、1970年ころには衰退の一途をたどります。
第二次AIブーム(1980~1990年代)
1980~1990年代はコンピューターの処理能力も向上し、推論型コンピューター「エキスパートシステム」をはじめとする新しい技術やアルゴリズムが次々と開発されました。また欧米を中心に研究が活発化しています。
米国のダーパやMIT、カーネギーメロン大学などの研究機関が研究をリードしました。また産業界でも研究や応用が進み、多くの企業がAIに投資を行っています。一般常識をデータベース化し推論を行うプロジェクト「Cycプロジェクト」が発足したのもこの時期です。
ただ当時のハードウェアにはこれらの膨大なデータを扱えるだけの性能がなく、さまざまなケースに応じた柔軟な対応も難しかったのが現状。多くの研究が断念され1990年頃には終焉を迎えます。
第三次AIブーム(2000年代~)
2024年現在まさしく真っ只中である「第三次AIブーム」は、じつは2000年ころから始まっています。ディープラーニングや機械学習などの技術が急速に発展を遂げたことで、可能性および汎用性が再評価されているためです。
前項で簡単に説明した「ディープラーニング」技術の登場によって画像認識、自然言語処理などで驚異的な成果が生まれ普及がさらに加速。自動運転や医療をはじめ、あらゆる業界で活用が拡大します。
各業界への活用のみならずディープラーニング技術自体の進化も進み、イラストや絵を生成する「画像生成AI」も登場するなど、このブームは今後もしばらく続いていくと予想されています。
AI(人工知能)の主な分類
ここでは主な分類として、代表的な以下の2つを紹介していきます。
- 特化型AI(弱いAI)
- 汎用型AI(強いAI)
特化型AI(弱いAI)
簡単にいうと「ある分野で圧倒的な力をもちながら、逆にそれ以外のことは何もできないAI」のことを指します。
現時点で実現しているすべてのAIはこれに該当します。具体例としては、以下のようなものです。
- 将棋ロボット
- けん玉ロボット
- ロボット掃除機
- スマートスピーカー
- 車の自動運転
- 不良品検知システム
- 画像生成
- 無人レジ
汎用型AI(強いAI)
簡単にいうと「人間とおなじ動きと思考ができるAI」のことを指します。アニメキャラクターでいうならドラえもんや鉄腕アトム、アラレちゃんなどが具体例として挙げられます。
たとえば人間は予想外のできごとやトラブルに対しても、経験に基づいて柔軟な判断で対応していくことが可能です。これと同じで、プログラムにないことでも経験と柔軟な思考で自ら動けるAIがこれに該当します。
ただ、2024年現在ではまだ空想上の技術であって実装・実用化の事例もありません。研究段階ではあるものの、実用化にはまだまだ時間がかかるでしょう。
特化型AIと汎用型AIの違いを簡単にいうと?
両者の違いを簡単にまとめると、以下のとおりです。
特化型 | 汎用型 | |
実現できること | ・特定のタスクの処理 ・課題解決 ・作業効率および生産性向上 |
・幅広いタスクの処理 ・課題解決 ・会話や雑談 |
具体例 | 将棋ロボット けん玉ロボット ロボット掃除機 スマートスピーカー 車の自動運転 不良品検知システム ほか |
ドラえもん 鉄腕アトム アラレちゃん など |
活用状況 | 生活やビジネスに有効活用されている | 実用化されていない (2024年3月現在) |
AI(人工知能)の活用事例
活用事例には、以下のようなものがあります。それぞれ簡単に見ていきましょう。
- 画像認識
- 自然言語処理
- 音声認識
- ビッグデータの解析や予測
- システム開発作業
画像認識
活用事例の中でも、とくに活用事例として多いのが画像認識です。具体的には以下が挙げられます。
- 自動運転
- 不良品検知
- お掃除ロボット
- 各種カメラアプリ
- ほか
画像認識はその名のとおり、画像データを解析して内容を理解する技術です。自動運転における通行人や標識や白線の認識、またカメラアプリにおける顔のパーツ認識など、じつに多彩な分野で活用されています。
自然言語処理
自然言語処理とは、簡単にいうと「人間の言葉でのやりとりを実現するコンピューター技術」を指します。
「ChatGPT」が、わかやすい具体的といえるでしょう。どんな質問に対しても、まるで人間が書いたような自然な回答を自然な言葉で返してくれます。
自然言語(人間のことば)以外にも翻訳やプログラミング言語生成もしてくれるため機械翻訳、テキスト解析、質問応答システム、さらには文章から感情を分析するシステムなどまで活用が進んでいます。
AI研究所が運営する「チャットボット入門セミナー」なら、AIチャットボットの基礎から応用的なノウハウを理解できます。実際にハンズオンでチャットボットを作成しながら効率的に学べるので、ぜひご検討ください。
音声認識
音声認識は簡単にいうと「音声データをテキストに変換する技術」のことで、具体例としてはスマホに搭載されているSiriやスマートスピーカーなどが挙げられます。
音声を聞き取ってテキストデータとして言語化するのはもちろん、聞き取った内容からデバイス操作や制御も行えます。
ビッグデータの解析や予測
簡単にいうと「膨大なデータから傾向を掴んだり、解析して正確な予測を行ってくれる」ということです。解析や予測の具体例は、以下のようなものです。
- SNSやECサイトのレコメンド機能
- お店の来客数予測
- 生産管理における自動発注システム
- 天気予報
たとえばAmazonやYouTubeにあるユーザーの興味に沿ったものをトップに表示する機能は、まさにAIによる分析で成り立っている技術です。またお店の繁忙期・閑散期の来客数予測や天気予報でも用いられています。
システム開発作業
システム開発作業においても革新をもたらしています。主に活用されているのは、プログラミングコード生成やデバッグ、バグ検出などのタスクです。
たとえばChatGPTなどをうまく活用すればプログラムコードの大部分は自動で生成されるので、開発者は効率的なプログラミングと品質アップが狙えます。システム開発をはじめWebアプリ開発やデザイン、ゲーム開発などあらゆる業界で「なくてはならないツール」となっています。
なお、AIエンジニアを目指す方におすすめなのが「AIエンジニア育成講座」です。まったくの未経験からでも3日間という短期間で基礎から応用プログラミングまで、実践的なスキルを学ぶことができます。
AIを簡単にいうと?まとめ
AIは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)」の頭文字をとった言葉で、簡単にいうと「人の脳の能力を備えたコンピューター」の総称です。そして日本語に訳したものが「人工知能」となります。
経験したことを人間の脳のように学習していくため、判断・判別などの作業を行わせるごとに精度や賢さを向上させていくことが大きなポイント。現代においてAIは進化のスピードが目まぐるしく、活用の幅も驚くべきスピードで広がっているので、自分から興味をもって新しい情報をキャッチアップしていくことが重要です。