【2024】AI Labとは?事業内容や年収、研究領域をくわしく解説!

【2024】AI Labとは?事業内容や年収、研究領域をくわしく解説!

AIの技術革新、需要拡大が目まぐるしい昨今、AIの研究および開発に前のめりになる企業や組織が急激に増えているのが現状です。中でも注目を集めているのが、日本国内屈指の大手IT企業「サイバーエージェント」が立ち上げたAI技術研究組織「AI Lab」です。

今回の記事では、その「AI Lab」の概要や研究内容・領域、年収相場について紹介していきます。国内大手IT企業のひとつのAIへの取り組み事例として参考にしてください。

サイバーエージェント「AI Lab」とは?

サイバーエージェント「AI Lab」とは?

引用:AI Lab公式サイト

「AI Lab」とは株式会社サイバーエージェントが2016年に設立した、AI研究の研究・開発組織のことです。対応分野はAIを中心に機械学習や人工知能、自然言語処理やロボットビジョン、さらには統計学まで多岐にわたります。

AI Labの主な目的は「広範なデジタルマーケティングに関するAI技術の研究および開発を行うこと」です。

上記それぞれの分野に精通したスペシャリストを収集したチームで研究を行っているため「高度なAI研究技術の実用化」、そして「大学などの研究機関との連携強化」を実現しつつ、ビジネス課題解決をはじめとする社会貢献を目指しています

AI Labの概要を一覧にまとめると、以下のようになります。

組織名 AI Lab
運営企業 株式会社サイバーエージェント
主な目的
  • 広範なデジタルマーケティングに関するAI技術の研究および開発
  • 高度な学習・研究機関との連携を活かした、AI技術の実用化による社会貢献
主な研究内容・領域
  • バナー・動画広告の制作支援や自動化
  • 視覚・言語表現を解析する技術の実用化
  • CG・メタバース空間を活用したコンテンツ生成
  • 広告テキスト「MASK」を活用した情報提供
  • 配信サービスや検索エンジンのアルゴリズム最適化
  • 接客チャットボットの研究開発・実用化
  • コンピューターによる新しいビジネス意思決定
  • AI技術による意思決定プロセス自動化
  • 人の行動原則を理解する技術の開発
  • インターンシップ事業
研究チーム
  • Creative Research
  • Media fundamentals
  • Computer Graphics
  • Natural Language Processing
  • Algorithms
  • Interactive Agent
  • Econ
  • Reinforcement Learning
  • Activity Understanding
  • HPO

AI Labの年収

AI Labの各エンジニア・スペシャリストの年収は不明です。AI Labは研究員募集を行ってはいるものの、公式サイトを確認しても給与面の記載は「応相談」となっています。

ただ参考までに大手求人掲載サイトのIndeedによると、「株式会社サイバーエージェントのAI研究員」の平均年収は約680万円です。ただ、これが「AI Labの研究員」のことを指すのか否かは不明です。

サイバーエージェントにはAI Labの他にも、データ分析や解析のスペシャリストが集う「Media Data Tech Studio」という部門も存在します。仮にこういったAI部門すべての平均が680万円であれば、国内のサラリーマンの平均年収(約450万円前後)を大きく上回ることになります。

なおAI Labと同様のAI研究機関「Sony AI」の平均年収について興味のある方は、以下の記事で詳しくご紹介していますのでぜひ参考にしてください。

【2024】Sony AIとは?概要や導入事例、エンジニア年収を紹介!

AI Labの研究領域チーム

AI Labの研究領域には、以下のような領域があります。

研究領域チーム名称 行っている主な内容
Creative Research
  • バナー広告や動画広告の自動生成の実現
  • 広告表現の提案
Media fundamentals
  • 広告制作支援
  • グラフィック傾向の分析やデザイナー業務の支援
Computer Graphics
  • CGやメタバース上でのコンテンツ生成
  • モデリングやCGパイプライン等の作業支援
Natural Language Processing
  • 「MASK」を用いた広告テキストの最適化
  • 広告費用対効果の最大化
Algorithms
  • アルゴリズムの改修および最適化
  • 広告およびサービスへの実装
Interactive Agent
  • 接客チャットボットおよびロボットの実用化
  • 最先端人工知能システムの研究開発
Econ
  • 新たな手法による意思決定の効率化および自動化の実現
  • データサイエンス技術の高度な研究
Reinforcement Learning
  • 意思決定を自動化するアルゴリズム開発
  • 各種問題や関連技術への取り組みの実行
Activity Understanding
  • ヒトの行動原則を理解するAI技術の開発
  • 上記サービスやコンテンツへの実装および実用化
HPO
  • 持続的なAIモデルの改善
  • パラメータの最適化

それぞれご紹介していきます。

Creative Research

Creative Researchチームが主に行っているのは、バナー広告や動画広告生成の自動化です。

また自動生成のみならず最適な広告表現の構築によるクリエイティブ界隈への業務革新を目的とし、開発や研究を絶えず行っています。

Media fundamentals

Media fundamentalsチームは、「視覚や言語表現を解析する技術」の実用化に向けて、グラフィック傾向の分析やデザイナー支援の研究に取り組んでいます。

広告における配色やアルゴリズムを分析し、より効果の高い広告を実現することが目的です。

Computer Graphics

主に「CGやメタバース空間を活用したコンテンツの生成」を担当しているのが、Computer Graphicsチームです。

立体データやCG、メタバース空間を活用したコンテンツの生成が中心で、モデリングや動画合成に深層学習技術を用いるなどの作業を行っています。

Natural Language Processing

Natural Language Processingチームは、「広告テキスト最適化」を担当しています。広告テキストとはその名のとおり広告に用いられるテキストのことで、キャッチコピーの専門家などが担当することが多いこの領域を自動化することに焦点を当てています。

テキスト生成には「MASK」というプログラムが用いられ、広告費用の最大化を大きな目的として掲げています。

Algorithms

Algorithmsチームが主に行っているのは「アルゴリズム最適化」です。これによって広告や検索エンジン、Webサービスの効果を最大化することが目的です。

ユーザーの行動から得たログを分析したり、効果測定評価の仕組みを見直すなどの施策が行われています。

Interactive Agent

Interactive Agentチームの主な担当領域は、「自動対話技術の実現」です。接客チャットボットやロボットを駆使した遠隔対話システムを実現するために、あらゆる施策が日々行われています。

単なる自動対話の実現ではなく「人間の強固な信頼が得られる」「人間が行動を変えてしまう」ようなシステムの開発に向け、研究が行われているのが特徴です。

近年のチャットボットサービスには、女子高生AI「りんな」があります。概要や具体例について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【2024】女子高生AI「りんな」とは何?くわしい概要や活動内容を紹介!

Econ

Econチームの主な担当領域は「コンピューターによる新しいビジネス意思決定手段の開発」です。

AIを用いたまったく新しいビジネス意思決定の手段を構築する研究に積極的な姿勢を見せており、高度なデータサイエンス技術研究や新たなアルゴリズムの提案などが行われています。

Reinforcement Learning

「サービスの成果・利益の最大化につながる意思決定技術」の領域を担当しているのが、Reinforcement Learningチームです。

主にデータやAIモデルに基づいた戦略策定からアルゴリズム改修、そして強化学習を用いた各種課題への対応策策定などを行っています。

Activity Understanding

Activity Understandingチームが担当する領域は、主に「人間の行動原理・原則の分析」かつ「それらに基づくアプローチの提案」です。

人間があらゆるシーンで行う行動原理や原則を分析し、コンピューターやロボティクスばどを駆使したアプローチで新たな価値を創出することを主なミッションとして掲げています。

HPO

主に「持続的なAIモデルのためのあらゆる改善策の実行」を行っているのが、HPOチームです。

より効果的なAIモデルの性能を持続的に引き出すため、パラメータの最適化や新手法の提案、専用ソフトウェアの開発といった課題に取り組んでいます。

AI Labの学術面における事業内容

AI Labが行っている学術面における事業内容は、大きく以下のとおりです。

  • 研究室との産学連携
  • 2種類のインターンシップ

それぞれ見ていきましょう。

研究室との産学連携

AI Labの大きな特徴に、「産学連携を積極的に行っている」ことが挙げられます。

実際にこれまで提携した大学および大学教授、研究室や学術機関はじつに多岐にわたります。大学を一例として挙げると、以下のとおりです。

  • 東北大学
  • 筑波大学
  • 東京大学
  • 慶應義塾大学
  • 早稲田大学
  • 名古屋大学
  • 大阪大学
  • 京都大学
  • 九州大学

提携大学や研究室の数はこの他にもたくさんあります。「高い技術をもちながらもAI研究に前のめりな研究機関や教授・研究者」とつながるからこそ、高い研究の質を維持できているのでしょう。

2種類のインターンシップ

AI Labの学術的な事業のひとつとして以下の「2種類のインターンシップ」が挙げられます。

  • For all students(レギュラーインターンシップ)
  • For PhD students(リサーチインターンシップ)

「For all students(レギュラーインターンシップ)」は、全学年対応・制限なしでいつでも応募できます。内容は主に「テキスト生成AIの開発および実装」です。

一方の「For PhD students(リサーチインターンシップ)」は、大学院の博士課程後期の学生を対象にしたもの。主に「AI Labが行っている高度な技術」をもとに、さまざまな課題の解決に取り組むといった内容です。

AI Labの「特別研究員」とは?

特別研究員とは「優秀な成績を取得しているため、支援の対象になった方々」のことを指します。

優秀な成績とは「大学院博士課程在学者」ないしは「博士学位取得者」が該当します。そして支援内容は「奨励金の支給を受けつつ研究を行うことが可能になる」といった内容です。

プロレベルのAIスキルを学ぶならAI研究所!

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AI Labについてまとめ

ここまでサイバーエージェントのAI研究組織「AI Lab」の概要や研究領域チーム、事業内容について紹介してきました。

AI Labは機械学習や自然言語処理、ロボットビジョンや統計学といった各分野に精通したスペシャリストを集めたチームを結成し、そのチーム体制でデジタルマーケティング関連の広範な研究および開発を行っています。

AIは今後も進化や発展を続けていくと予想されていますが「AI Lab」をはじめ、その進化の裏で動いている組織は必ず存在します。おなじAI技術でもそういった組織の活動に注目していると、また違った見え方ができるでしょう。

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