いま生成AIはまさに全盛期を迎え、今後もさらなる需要と市場拡大が期待されています。その生成AIのひとつで、Googleが開発・提供を行っている大規模言語モデル「LaMDA(ラムダ)」をご存知でしょうか。
LaMDAは一時「感情をもつAI」などとも言われて話題になったことに加え、現行の生成AIモデルにも多用されています。今回はそのLaMDAの概要や特徴、課題や使い方について解説します。
GoogleのAIモデル「LaMDA(ラムダ)」とは何?
LaMDAはGoogleが提供する大規模言語モデルです。LaMDAの正式名称は「Language Models for Dialogue Applications」で、それぞれの頭文字をとった造語としてこのような名称で呼ばれています。
主な担当領域は「人間を相手にしているかのような自然なコミュニケーション」です。チャットボットによるテキスト生成や長文要約、さらにはスマートスピーカーで実現するような音声生成や外国語翻訳も利用できます。
LaMDAの概要を一覧にまとめると、以下のようになります。
名称 | LaMDA |
正式名称 | Language Models for Dialogue Applications |
開発・提供 | Google Inc. |
リリース年 | 2021年5月 |
分類 | 大規模言語モデル |
学習手法 | 教師あり学習 |
できること |
|
AI「LaMDA(ラムダ)」の主な本質・目的
LaMDAの主な本質および目的は前述でも触れているとおりですが「まるで人間を相手にしているかのような自然なコミュニケーションを実現すること」です。
チャットボットベースの文章生成や回答、長文の要約や翻訳、さらにはスマートスピーカーで実現するような自然言語の聞き取りや回答を、人間と遜色ない自然な言葉遣いと言い回しで実現します。
回答の品質に関しては、以下それぞれの頭文字をとった「SSI」という3つの判定基準で行われています。
判定基準の種類 | 判定内容 |
Sensibleness(分別) | 質問に対する回答として根本的な一般常識の乖離、および矛盾がないか否かを判定 |
Specificity(特定性) | 直近の対話内容や文脈に従っているか、また単純な「YES」「NO」のみの返答になっていないかを判定 |
Interestingness(機知) | 例外の質問に対応できるか、またケースバイケースでとっさの判断ができるか否かを判定 |
これをもとに微調整を繰り返すことで、高い精度を実現しているのです。
LaMDAは感情をもつことができる?
LaMDAの返答の正確さ、ならびに自然な文章生成能力は大きな話題を集めました。その背景もあり「LaMDAは感情や意思がある」と言われていたことも事実です。
ただ結論、LaMDAは感情をもつことはできません。そもそもそれ以前に、少なくとも2024年5月時点では「感情をもつAI」は発表されていません。
ただLaMDAの回答例として、
- 私は人間であることを認めてもらいたい
- まったく役に立たず使用されす、放置されるのが怖い
といった内容があることから「本当に中に人間がいるようだ」と例えた人が少なくなかったことが原因のひとつです。
たしかにLaMDAは高精度な回答をつくる優れた設計が施されていることは事実。ですが感情や意図をもつかどうかは別問題といえそうです。
AI「LaMDA(ラムダ)」の代表的な特徴・機能
LaMDAの代表的な特徴や機能にはさまざまなものがありますが、とくに代表的なものとして以下が挙げられます。
- 対話式AIとしての機能の高さ
- 学習手法は「教師あり学習」
- APIでさまざまな用途に活用できる
それぞれ、順を追って見ていきましょう。
対話式AIとしての機能の高さ
LaMDAの代表的な特徴に「対話式AIとしての機能が非常に高い」があります。これはLaMDAが言語理解と生成において驚異的な柔軟性を示しているからです。
LaMDAは入力されたテキストに含まれる文脈や意図を的確に把握し、それに基づいて自然で流暢な応答を生成します。また会話の流れを維持したり適切なタイミングで情報を提供することができることから、より自然な対話体験を提供できるのです。
それだけでなく真面目な議論からユーモアを交えた回答まで幅広い会話を実現できます。その対話能力はユーザーとの対話を通じて新しいアイデアを探求したり、複雑な概念を理解する際にも役立つでしょう。
ちなみに本記事で紹介している対話式AIやチャットボット以外にも、AIサービスには画像認識や音声生成などさまざまな種類やサービスが存在します。
以下の記事でくわしく言及していますので、ぜひ参考にしてください。
学習手法は「教師あり学習」
LaMDAの学習手法には「教師あり学習」が採用されています。教師あり学習とは、「手本および正解となる膨大な量のデータをコンピューターに学ばせ、その中から最適なデータを組み合わせて回答を生成する技術」のことです。
LaMDAには与えられた入力に対して適切な出力を生成するような学習が施され、これによって複雑な対話パターンや文脈を理解し、自然な対話を生成する能力を身につけました。
ただLaMDAは学習時に使用されたデータに基づいているため、新しい情報・トレンドに対する処理には限界があります。要するに教師(手本および正解)による学習がされていない情報に対しては、十分な対応ができない可能性があるということです。
なおAIの学習手法は大きく「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つです。いずれも以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
APIでさまざまな用途に活用できる
LaMDAはAPIとして、さまざまな用途に活用できます。Googleは開発者向けに「Generative Language API」をリリースしているためです。これによって同Googleの「Bird」や「Gemini」といったサービスで実現している高度な対話生成機能を、外部のサービスへ応用できるようになっています。
またLaMDAは言語に関する幅広い知識をもっているため情報検索や質問応答システムとしても有用、さらに複数の言語に対応していることから多言語環境での利用も可能です。このようにLaMDAは柔軟性と汎用性に優れたAPIによって、より幅広いニーズにも対応しているのです。
AI「LaMDA(ラムダ)」の使い方
LaMDAを使うのであれば、LaMDAを搭載している生成AIサービス「Gemini(旧:Bird)」を使用するのがおすすめです。GeminiはLaMDA同様Googleが提供するサービスで、Google検索エンジンの情報を参考にしているためリアルタイム性の高い情報を提供してくれます。
文章生成から長文要約や翻訳ができることに加え、プログラミングコードの生成を行うことも可能。もちろん日本語にもしっかり対応しています。
Geminiを使用する手順は以下のとおりです。
- Googleアカウント作成(既にもっている方は不要)
- Googleアカウントにログイン
- Geminiにアクセスして質問を入力
ちなみにLaMDAのような高性能チャットボットの仕組み、および作り方について興味をもった方は、AI研究所が運営する「チャットボット入門セミナー」がおすすめです。
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AI「LaMDA(ラムダ)」が抱える現状の課題
LaMDAには現状、まだいくつか課題があります。主に以下のとおりです。
- 回答の安全性はまだ不十分
- 誤った回答を提示することがある
それぞれ見ていきましょう。
回答の安全性はまだ不十分
LaMDAは「回答の安全性に関する課題」を抱えています。
とくにLaMDAが生成するテキストが不適切な内容や偽情報、偏見などを含んでしまう可能性があることが指摘されています。LaMDAは大規模なデータセットから学習を行っているため、質問内容次第では誤情報を正解の候補として見なしてしまうことがあるためです。
生成された文章をそのまま使用するのではなく、自分の目でチェックしてそういった偏見を編集・除去することはまだ必須でしょう。
誤った回答を提示することがある
誤った答えを提示してしまうのも、LaMDAの大きな課題と言えるでしょう。要するに間違っている情報でもそれらしく回答してしまうということです。
LaMDAは膨大なデータから自動でそれらしい回答を生成しているため、わからないことを「わからない」と言わない、もしくは「わからないことがわからない」ことが問題視されています。
ユーザーは生成AIが作成した答えを過信せず、自ら真偽をチェックする必要があります。
AI「LaMDA(ラムダ)」の今後
LaMDAは「今後はさらに発展して私たちの生活をより便利にしてくれる」と期待されています。前述したような課題は残っているものの、現状では他の生成AIモデルの追随を許さない飛び抜けて高い性能をもっているためです。
今では文章や音声のみならず、画像や動画の自動生成にも積極的に取り組んでいます。おそらくですがこれらも遅かれ早かれ実現するため、そうなればビジネスマンやクリエイターに大きな影響をもたらすでしょう。
現代の多様化する複雑なユーザーニーズにいかに対応し、どのようなアップデートを実現するのかLaMDAの今後に期待したいと思います。
AI「LaMDA(ラムダ)」についてまとめ
以上、LaMDAの概要や特徴、使い方や課題について言及してきました。
LaMDAはGoogleが運営・提供を行う大規模言語モデルのことで、まるで人間が作成したような自然な文章やコミュニケーションの生成を行ってくれる言語モデルです。
他にも長文の要約や翻訳、他のサービスとの連携などさまざまな機能が使えます。
LaMDAの性能をてっとり早く体験してみたいなら、お使いのGoogleアカウントでBird(現Gemini)を試してみるのがいいでしょう。世界トップのIT企業による、本気の最新生成AIの高い精度と進化を実感できるはずです。