E資格のシラバスでは、AIの「深層学習」の単元があります。このような単元には、具体的にどのよう対策したらいいのでしょうか。JDLA(日本ディープラーニング協会)のシラバスで挙げられているトピックは、これからE資格の検定を受験をする人はもちろん、AIの深層学習に興味がある人も、ひと通り知っておいたほうが役立つ可能性があります。ここでは、「深層学習」の中項目である「深層モデルのための最適化」を解説します。
E資格のシラバスの項目「深層モデルのための最適化」とは?
JDLA(日本ディープラーニング協会)のシラバスに掲載されている「深層モデルのための最適化」は、人工知能を最適なバランスで運用するための方法を説いた単元です。エンジニアがこの試験を受験するときは、資格試験対策の講座やプログラムを受講したり、JDLA認定の参考図書で勉強をしたりすると、合格レベルの知識が身につく可能性があります。
AIに人間の脳の機能をもたせる深層学習
JDLA(日本ディープラーニング協会)のE資格の大項目に挙げられている「深層学習」は、人工知能であるAIに人間の脳のような機能をもたせることがひとつの目的です。情報を整理するときのルールや新しい情報の処理方法などを学ばせることで、AIも人間がおこなうような柔軟な判断ができるようになります。このような学習をスムーズに進めるためには、最適化と呼ばれる処理をしてシステムのバランスをとることが必要です。
最適化をするメリット
最適化をすると、AIがその状況に合ったより正しい判断ができるようになります。ミスや誤差が少なくなり、システムの精度がアップすることは、最適化をする大きなメリットです。
「学習と純粋な最適化の差異」とは?
「深層モデルのための最適化」には、「学習と純粋な最適化の差異」という小項目が設けられています。
バッチ学習とオンライン学習、ミニバッチ学習の違いがテーマ
「学習と純粋な最適化の差異」の項目では、バッチ学習とオンライン学習、ミニバッチ学習の違いがテーマになっています。所定の学習データを学ぶバッチ学習は、機械学習の基本です。オンライン学習は、新しく取り入れた学習データを用いて、パラメータを更新しながら学習を進めていくのが特徴です。この学習方法は、AIがイレギュラーな状況にも対応できるようになるというメリットがあります。ミニバッチ学習は、バッチ学習とオンライン学習のメリットを取り入れた学習のアプローチです。
2つのアルゴリズムを学習
「学習と純粋な最適化の差異」の細項目には、バッチアルゴリズムとミニバッチアルゴリズムが挙げられています。バッチアルゴリズムは、バッチに分けた情報を順に学ぶときに用いるアルゴリズムのことです。これに対して、無作為にバッチをピックアップして学習を行うアルゴリズムがミニバッチアルゴリズムです。
「基本的なアルゴリズム」とは?
「基本的なアルゴリズム」も、「深層モデルのための最適化」の小項目のひとつです。「深層モデルのための最適化」の小項目には、「確率勾配降下法」、「モメンタム」、「ネステロフのモメンタム」の3つの細項目があります。
確率勾配降下法
確率勾配降下法は、通常の勾配降下法と確率を用いたスピーディーな計算方法を組み合わせたアプローチです。
モメンタム
モメンタムは、株価の分析などに用いられるアルゴリズムです。勾配の大きさに沿って更新する数値の幅を大きくしていくのが、モメンタムの特徴です。
ネステロフのモメンタム
ネステロフのモメンタムは、ネステロフの加速勾配の手法を用いるアルゴリズムです。
「パラメータの初期化戦略」とは?
「深層モデルのための最適化」には、「パラメータの初期化戦略」の小項目もあります。こちらの小項目には、細項目はとくに設けられていません。
深層学習の結果を左右するパラメータ
外部から取り入れるパラメータは、人工知能の学習にも大きな影響を与える要素です。どのようなパラメータを受け取るかによって、深層学習の結果も変わってきます。
初期化によって最適なバランスで学習ができるようになる
パラメータの初期化は、AIを最適なバランスで運用していくうえでも欠かせないアプローチです。この小項目では、初期化のアプローチについて学びます。
「適応的な学習率を持つアルゴリズム」とは?
「適応的な学習率を持つアルゴリズム」も、「深層モデルのための最適化」の小項目に挙げられています。この項目には、次のような細項目が含まれています。
AdaGrad
AdaGradは、パラメータによって学習の手法を変えるアプローチです。このアプローチでは、勾配パラメータの二乗和を利用して学習率の修正をおこないます。
RMSrop
AdaGradの欠点をカバーする手法が、このRMSropです。RMSropでは、勾配を二乗した数の指数移動平均を用います。
Adam
Adamは、モメンタムとAdaGradを組み合わせたアプローチです。
「最適化戦略とメタアルゴリズム」とは?
E資格のシラバスで、「深層モデルのための最適化」の最後の小項目に挙げられているのが、「最適化戦略とメタアルゴリズム」です。この小項目では、正規化という処理をするためのバッチ正規化、Layer正規化、Instance正規化、教師あり事前学習の4つの手法がテーマになっています。
バッチ正規化
バッチ正規化は、ニューラルネットワークの層のそれぞれで、平均値と標準偏差を算出して、入力したデータを正規化するアプローチです。このようなアプローチをすることで、共変量シフトが少なくなります。
Layer正規化
すべてのチャンネルをひとまとまりと考えて、平均値と標準偏差をだして正規化をするのがLayer正規化です。このアプローチは、画像を処理するときなどによく用いられます。
Instance正規化
Instance正規化では、1つのチャンネルごとに平均値と標準偏差を算出して正規化をおこないます。
教師あり事前学習
教師あり事前学習は、ニューラルネットワークの層を段階的に学習していくアプローチです。前の層の学習に付け加える形で問題を学ばせて、最終的に全部の層の学習が終わるようにします。
シラバスの内容を把握してポイントを押さえた学習をしよう
E資格の試験に合格するには、シラバスの内容をよく読んで出題される内容を十分に把握しておくことが大切です。最新のシラバスは、JDLAの公式ホームページで公開されています。受験する年度のシラバスをチェックしておくと、自分にとっての難易度を把握でき、ポイントを押さえた学習ができるでしょう。試験日までの残り時間を考えて学習計画を立てれば、効率よく勉強が進められます。